世界三大商人とは?華僑・印僑・ユダヤ人の代表的な人物とタルムードの教え

商社で働いていると、商人に由来する言葉や、商人の商売に対する向き合い方がよく話題に上がります。

本記事は「世界三大商人とは?」をテーマとし、華僑・印僑・ユダヤ人の代表的な人物や、商人の商売に対する向き合い方について解説します。

目次

世界三大商人

世界三大商人とは、華僑印僑ユダヤ人のことを指します。

彼らは共通して、政治的・社会的に生活苦を強いられた境遇から外国へ出稼ぎに出ており、同族同士で集まるコミュニティを築いた歴史を持ちます。

現代では、特定の業界における主要な人物をこの3種類に分類できるほど、彼らは優秀な商人(起業家)を多く輩出しています。

これは不遇な境遇により、自分の子供に対して幼少期からビジネスを教えていたことが起因しています。

華僑

華僑とは、中国本土・香港・台湾以外に住む中国系住民(第一世代やその子孫を含む)を指します。

彼らは東南アジアを中心に、主に商業や不動産の分野で活躍しており、​その人口は約6000万〜6700万人とされています。

代表的な人物

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人物資産額概要
黃 仁勳1744億ドル(世界8位)NVIDIA創業者
趙 長鵬1113億ドル(世界17位)Binance共同創業者
李 嘉誠469億ドル(世界42位)長江実業グループ創業者
謝 国民185億ドル(世界135位)華人系財界人
郭 鶴年139億ドル(世界204位)ケリーグループ創業者

参考文献華僑の人口|政府資料開放平臺

印僑

印僑は、インド以外に住むインド系住民で、欧米・中東を中心にITや医療の分野で活躍しています。

人口は世界全体で3542万人ほどで、国策として数学教育に力を入れることにより、近年ではカースト制度に依存しないIT業界に多くの人が参入しました。​

代表的な人物

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人物資産額概要
Lakshmi Mittal301億ドル(世界70位)世界2位の鉄鋼メーカー会長
兼ステンレス鋼メーカー会長
Vinod Khosla132億ドル(世界254位)サンマイクロシステムズ共同創業者
Satya Nadella13億ドルMicrosoft会長兼CEO
Sundar Pichai16億ドルGoogle・AlphabetのCEO

参考文献印僑の人口|インド外務省

ユダヤ人

ユダヤ人は特定の国が存在せず、ユダヤ教を信仰する人・またはユダヤ人の母親から生まれた人のことを指します。

古代イスラエル王国の滅亡後に世界各地へ離散し、当時迫害の対象であった金融業を中心に活躍しました。

代表的な人物

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人物資産額概要
Larry Page2797億ドル(世界2位)Google共同創業者
Sergey Brin2370億ドル(世界3位)Google共同創業者
Mark Zuckerberg2220億ドル(世界5位)Facebook共同創業者
Larry Ellison2211億ドル(世界6位)オラクル共同創業者
Michael Dell1710億ドル(世界13位)DELL創業者
Steve Ballmer1339億ドル(世界15位)Microsoftの元CEO
Michael Bloomberg1090億ドル(世界18位)Bloombergの創業者

ユダヤ人の特徴

ユダヤ人の人口(ユダヤ教を信仰する人)は、世界で1574万人ほどです。

華僑(約6000万〜6700万人)や印僑(3542万人)より圧倒的に少ないにも関わらず、Forbes2026の金持ちランキングトップ100には、23人にも上るユダヤ人が名を連ねています。

仮にユダヤ人を一つの国籍と考えた場合、これはアメリカに次いで2番目に人数が多い国になります。

給与水準・教育水準

世界的にユダヤ人は教育年数が長く、平均就学年数は13.4年、約61%もの人が中等後教育を受けています。

くろひつじ

世界的に教育水準の高い日本人でも、平均就学年数は約12.7年なんだ。

またアメリカ在住のユダヤ人のうち、23%が世帯年収20万ドル以上(アメリカ全体では4%)、教育水準は65%が学士以上(アメリカ全体では35%)にも上ります。

参考文献

聖典タルムードの教え

ラビ的ユダヤ教(ユダヤ教の主流派)には、全6部63編からなるタルムードという聖典が伝えられています。

タルムードは、紀元前5世紀頃から口伝律法で伝えられ、文字として編纂されたのは2世紀から6世紀にかけてです。

タルムードには、「法・倫理・儀礼・家庭・教育・労働・契約・利息・計量・学問」など、非常に幅広い議題が書かれています。

タルムードの思想

タルムードは、ユダヤ教の代表的な聖典(文献)であり、ヘブライ語のTalmudは「学習」「研究」を意味します。

この聖典は単なる宗教本ではなく、生きていくうえで実践的な思想・道徳観が書かれています。

誠実な商売をせよ

タルムードでは、人が最終的な裁きの際に問われることの一つに、「誠実に取引したか」が挙げられています。これは、「商売の成功そのものよりも、取引の誠実さが人生の評価基準になる」というメッセージです。

この他にも、「水が混ざったワインを売る場合は、買い手に知らせる必要がある」とし、例え中間業者に知らせても「その業者が後で欺く可能性があるなら売ってはならない」という趣旨の議論があります。

参考文献

財産の塩は慈善である

タルムードには、「自分の財産を保つ(塩)のは、慈善である」という趣旨のことわざがでてきます。

ラシはこれを「財産を保ちたいなら、それを常に慈善のために減らせ。その減少こそが財産の存続である」と解釈しています。

但し、例え慈善のために財産を使う場合でも、五分の一を超えて散財してはならないという制度も述べられています。

ラシとは?

ラシは1040年頃から1105年まで生きた、タルムードを解説した後世の注釈者です。

参考文献

1日休めば2日後退する

タルムードでは、「もしあなたが私を一日捨てるなら、私はあなたを二日捨てる」という表現がでてきます。

ここでの「私」とは、文脈上ユダヤ教の学び・神の教えを指しますが、これは「学びから離れると、距離は思った以上に広がる」という習慣化の重要性を示しています。

参考文献:『ベラホート』9:5|Sefaria Library

従業員の人間性を重んじよ

労働者を雇うには、労働時間や食事の提供などを、地域の慣習に従うべきという考えが述べられています。 

物語の中で、荷運び人(従業員)が酒樽を壊した際、ラヴ(師)は雇い主に、彼らに衣服を与え賃金を払うよう促します。これは厳密な権利義務を超えて、弱い立場への配慮を示す話として読まれてきました。

参考文献:『ババ・メツィア』83a|Sefaria Library

日本の商人

日本にも、江戸時代を中心に商人が存在しました。

日本の商人は、地域別・業態別に3種類に分類できます。

地域別の代表的な商人

  • 近江商人
    近江に本宅・本店を置き、他国へ出て商いをした商人の総称です。江戸時代に発展し、近江八幡・日野出身者が多く、内部でも高島商人・八幡商人・日野商人・湖東商人などに分けられます。 
  • 伊勢商人
    伊勢出身で、江戸・大坂・京都などの大都市で活躍した商人です。木綿や茶を江戸へ運び、呉服店や両替店を開いた商人も多く見られました。 
  • 大坂商人
    近世に全国経済の中心地だった大坂で活動した商人です。主に堺・平野・伏見の商人を中核とし、問屋・仲買・両替商として活動しました。 

業態別の代表的な商人

  • 問屋
    江戸時代に、荷主から委託された貨物を売ったり、商品を仕入れて卸売した商人です。
  • 呉服屋/呉服商
    織物や反物を扱う商人です。近世都市の有力商人層で、越後屋のように後の百貨店へ発展した例もありました。 
  • 両替商
    金・銀・銭の交換や、為替・預金・貸付・手形などの金融商品も扱った商人です。特に大坂では本両替が発達しました。 

日本の商人の理念

日本にも、商人から伝えられてきた「ことわざ」や「理念」が多く残されています。

三方よし

三方よし(売り手よし・買い手よし・世間よし)とは、近江商人の哲学に由来する言葉で、自社・仕入先の利益、顧客満足、社会貢献の3つを同時に追求する理念です。

この理念は、1754年に書かれた中村治兵衛宗岸の書置が原点とされており、現代では伊藤忠商事の精神として受け継がれています。

「たとへ他国へ商内に参り候ても、この商内物、この国の人一切の人々、心く着申され候ようにと、

自分の事に思わず、皆人よき様に思い、高利望み申さずとかく天道のめぐみ次第と、ただその行く先

の人を大切におもふべく候、それにては心安堵にて、身も息災、仏心の事、常々信心に致され候て、

その国々へ入る時に、右の通りに心ざしをおこし申さるべく候事、第一に候」 (中村治兵衛宗岸(江戸

時代の麻布商)の書置)

「企業の社会的責任(CSR)に関する懇談会」中間報告書|経済産業省

参考文献:伊藤忠グループ企業理念「三方よし」の歴史、未来への展望|伊藤忠商事

商人に系図なし

商人に系図なしとは、「商人の出世は家柄ではなく、商売の手腕で決まる」ことを意味します。

江戸時代は身分秩序が厳格に定められた時代であり、この時代であっても、商人は家柄だけで成功するものではなかったことが示されています。

商いは牛の涎(よだれ)

商いは牛の涎とは、「商売は牛のよだれのように細く長く、気長に辛抱して続けよ」という精神です。

1713年の浮世草子『日本新永代蔵』を起源とし、「商は牛の涎、万事せかぬが大器成」と書かれています。

参考文献:日本新永代蔵|東京都立図書館

先義後利栄・好富施其徳

先義後利栄・好富施其徳とは、畳表や蚊帳を扱った近江商人・西川利右衛門家一統の家訓です。

「人としての道理をわきまえた行いをすれば、利益は後からついてくる。得た富に見合う徳(善行)を施せ」という意味を持ちます。

参考文献:新撰 淡海木間攫 其の七十九 家訓「先義後利」西川利右衛門

最後に

今回は「世界三大商人とは?」をテーマとし、華僑・印僑・ユダヤ人の代表的な人物や、商人の商売に対する向き合い方について解説しました。

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