【労働基準法がもたらした産物】年功序列や終身雇用を導入すべきでない理由をご紹介します。

私は現役で商社の営業マンをしています。私の会社を含め、日本におけるほとんどの会社が未だ年功序列を採用しており、このような日本特有の社会構造は労働基準法に適用すべく対処した結果だと考えられています。

年功序列・終身雇用はすべての人に一定の給与が保証される為、一見すれば良い社会構造のように見えます。しかしジャパン・アズ・ナンバーワンと呼ばれた時代は既に過ぎ去り、空白の30年と呼ばれる現代でもこの構造が残り続けています。

今回は日本の労働基準法がもたらした産物をテーマとし、今後理想とする社会構造がどのようなものか、そのヒントとなるものをご紹介できればと思います。

こんな人に読んでほしい
  • 年功序列・終身雇用に疑問をもっているビジネスマン
  • 年功序列・終身雇用を廃止しようか悩んでいる経営者
新野くん

年功序列って若い世代の人からは廃止の声が大きそうだけど、実際はどうなのかな?

くろひつじ

メン!実際には意見が分かれるんだ。自分が高齢になったらその恩恵を享受できるのは自分だからね。

どのような社会構造も、その恩恵を受ける人・受けない人が必ずいます。自分が恩恵を受けれない人であっても、それを客観的に見ることが重要です。本ブログも例外ではなく、あくまで知ることを目的とした客観的視点でご紹介できればと思います。

この記事のまとめ
  • 解雇規制は労働者に安定した給与を保証する一方で、ブラック企業の温床も生み出している。
  • アメリカにおける年功序列の廃止は、企業の生産性向上に貢献した可能性がある。
  • 年功序列を廃止するには、即戦力採用評価制度の見直しが必須条件である。
目次

解雇規制とは

戦後GHQの主導により、労働法(解雇規制)が整備されました。日本における解雇規制は、パフォーマンスが低くても所定の給与が貰え、年間の昇給金額も保証されるという社会構造を現代まで維持しています。

具体的には、社員を解雇するには以下全ての要件を満たす必要があります。

社員を解雇する条件

客観的に合理的な理由があること

  • 単なる気に入らない等の、経営者の独断では解雇できない。
  • 能力不足だけでは解雇できず、指導や研修を行っても改善が見られない場合のみ可。

社会通念上、相当であること

  • 社会の一般常識から見て、解雇が妥当と認められるか。
  • 同じ理由で他の社員を解雇しない場合は不当解雇となる可能性がある。

30日前の予告または解雇予告手当の支払い

  • 解雇する場合は30日前に通知する必要がある。
  • 即時解雇する場合は、30日分の解雇予告手当を支払う

労働基準法上の制限

以下の場合、解雇は原則として禁止されています。

  • 業務上の怪我や病気で療養中(解雇制限期間中)
  • 産前産後休業を取得している労働者
  • 育児・介護休業を取得したことを理由に解雇
  • 労働組合活動や正当な労働争議への参加を理由とする解雇
  • 性別や国籍、信仰、社会的身分による差別的解雇

解雇規制は現代においても安定や保証を求める労働者からは一定の支持を得ていますが、経営者・株主の視点からは成果と報酬の結びつきが弱く、モチベーションの高い社員の離職が懸念視されています。

解雇規制の産物

中国のことわざに上有政策下有对策(上に政策あれば下に対策あり)というものがあります。労働基準法における解雇規制が、どのような産物を生み出したか以下にご紹介します。

人材市場の固定化

採用後の解雇の難しさから、人材市場に中堅年齢層が消え新卒一括採用が主流の社会になりました。また適正な評価制度が確立せずトップダウンの社風が生まれ、必然的に年齢の高い人が高待遇となる年功序列の制度が生まれました。

働き方の多様化

解雇規制は雇用者側に採用するリスクを与え、特に資金繰りが不安定な中小企業にとっては大きなリスクとなります。これにより戦後、徐々に契約社員・アルバイトが普及し始め、1986年に労働者派遣法が施行され派遣社員も新たに導入されました。

労働者は個々の状況に縛られず自由な働き方ができるようになりましたが、この制度は労働者だけでなく雇用者にも選択権を与え、就職氷河期には多くの非正規労働者が溢れることになりました。

基本給の低下

解雇規制により社員を解雇できない対策として、一部の会社では基本給を下げ手当を増やすことで合算して平均の年収となるよう調整しました。

基本給は労働基準法により社員の同意なく下げることはできませんが、手当は削減する合理性があればその区分にはなりません。もし景気が悪くなったり、パフォーマンスの低い社員がいればいくらでも理由付けができます。

更に求職者が自分から質問しない限り、最終面接までこの給与形態を知らされることはありません。もし他の会社を辞退していれば、必然的にこの給与形態を了承せざるを得ません。

みなし残業の導入

みなし残業とは、残業が発生することを見越して先に支払う残業のことをいいます。求人情報にあらかじめ記載している場合もありますが、中には最終面接時に初めて口頭でその給与形態について説明する会社もあります。

みなし残業代は実際に残業しない場合でも支払いされますが、基本的にそれ以上の残業があることは見込んでおきましょう。なぜこのような不思議な給与形態が生まれたか、以下の理由が考えられています。

  • みなし残業は会社の業績により柔軟に減額・もしくは廃止できる。
  • 人材市場の固定化により一度入社した社員は辞めづらく、この構造でも素直に働いてくれる。

みなし残業がある旨は雇用契約書・労働条件通知書に明記する必要はありますが、それ以外は決まりがない為求人情報に表面上の給与の底上げが可能です。

また残念ながら、みなし残業制度を取り入れている会社は年々増加傾向にあり、労務行政研究所の調査によれば2010年には7.7%だった導入率が、2022年には23.3%に上昇しています。 

参考文献:労務行政研究所

まとめ

解雇規制は労働者に安定した給与を保証する一方で、いわゆる日本特有のブラック企業を生み出している側面があります。

従来、ブラック企業は実直な日本人の国民性から生まれたとされてきましたが、結果的に人材市場の固定化はブラック企業の温床を作り出す状況をもたらしています。

では、このような社会構造を改善する方法はあるのでしょうか。次に年功序列や終身雇用の制度を採用していたアメリカとの比較をご紹介します。

アメリカとの比較

アメリカは戦後の高度経済成長期において、日本同様の年功序列終身雇用といった雇用形態を採用していました。

しかし1970年代から1980年代にかけて、日本企業の台頭により製造業が大きな打撃を受けたことを背景に年功序列・終身雇用制度は徐々に崩壊し、多くの企業が成果主義的な人事制度を導入していきました。

雇用形態が切り替わった1980年以降、アメリカの経済成長率は目に見えて成長しています。当然ながら経済成長率の差は他にも要因がありますが、現在に至るまでこの差は広がり続けています。

まとめ

  • アメリカの年功序列の廃止は、企業の生産性向上に貢献した可能性がある。
  • 現在の日本が年功序列を廃止するには、経済的大打撃などの変化点が必要である。

参考文献:東洋経済

年功序列を廃止するには

年功序列を廃止するには、その前に解雇規制が緩和されることが理想とされています。解雇したくてもできない社会構造の場合、潜在的に最低限の給与が保証される意識が埋め込まれ、会社として生産性向上のメリットが無くなるからです。

しかし解雇規制は簡単に緩和されるものではありません。この状況でもし会社が年功序列を廃止する場合、以下の2点を組織に落とし込むことが重要となります。

  • 即戦力採用:最低限の知識・経験がない新人を採用することは組織全体のモチベーションの低下に繋がります。
  • 評価制度の見直し:組織やチームで仕事を行うことは、トップダウンの会社または上司や同僚・後輩など各方面からの評価制度があって初めて機能します

最後に

今回は解雇規制がもたらした産物をテーマに、今後経営者や労働者が生産性を改善するにはどのような取り組みができるかをご紹介しました。

今後も現代のビジネスマン向けに情報を発信していきますので、本ブログをブックマークして頂けますと幸いです。

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