皆さんは儲かる商売と聞いてどのようなものを想像するでしょうか。長らく儲けることが嫌厭されてきた現代において、それを正確に答えられる人は少ないと思います。
結論から先に言うと、それは儲かっている・又は儲けようとしている相手との商売です。ゴールドラッシュや不動産・ITバルブでは、短期間に多くの成功者を生み出した歴史があります。
その時代、最も儲けたのは成長産業の参入者ではなく、その産業参入者と商売をした人々です。彼らは成長産業の恩恵を受けながらも、リスクを最小限にできる位置にいました。
今回はそんな商売の鉄則に準した過去の成功者たちに焦点を当て、現代ビジネスに活かせる知識をご紹介しようと思います。

- 参入業界に悩んでいる経営者
- 新規事業を任されているビジネスマン
新野くんゴールドラッシュって有名だよね!アメリカで金が採掘されることがわかって、世界中から人が押し寄せたんだよね。



メン!そうだよ。でも実際には、一攫千金を目指して行った人たちのほとんどは経済的に破綻してしまったんだ。
ゴールドラッシュといえば、現代でも語り継がれる有名な言葉があります。それは金を掘らずに道具を売れです。
これは当時、金を掘らずに採掘者のサプライヤーとして商売をしていた人々が、現代まで続く資産一家を生んだことに由来するものです。なぜゴールドラッシュと言われながら、当の採掘者が裕福にならなかったのでしょうか。
その理由を突き詰めれば、今後起こり得る成長産業に備え、商売における重要な視点が手に入ります。


- ゴールドラッシュが「リーバイス」や「スランフォード大学」を生み出した。
- 「道具」を売る原則は、経営の柔軟性やリスク管理の重要性を示すものである。
- バブル経済期においても「道具」を売る原則が成り立つが、これだけでリスクヘッジにはなり得ない。
ゴールドラッシュ


ゴールドラッシュとは、金鉱が発見されたことにより、多くの人々が金を求めて一斉にその地域に殺到した現象を指します。特に19世紀に多くのゴールドラッシュが世界各地で発生し、社会や経済に大きな影響を与えました。
代表的なゴールドラッシュ
カリフォルニア・ゴールドラッシュ(1848年~1855年)
- 場所: アメリカ合衆国カリフォルニア州
- 発端: 1848年、ジョン・サッターの製材所で金が発見されたことから始まった。
- 影響: 世界中から30万人以上が殺到。
クロンダイク・ゴールドラッシュ(1896年~1899年)
- 場所: カナダ ユーコン準州クロンダイク地方
- 発端: 1896年に金が発見されたことから始まった。
- 影響: 過酷な自然環境と劣悪な条件の中、多くの犠牲者が出た。
オーストラリア・ゴールドラッシュ(1851年~1890年代)
- 場所: オーストラリア ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州
- 発端: 1851年に金が発見されたことから始まった。
- 影響: ビクトリア州のメルボルンが急成長し、当時は世界有数の都市になった。
その他の主なゴールドラッシュ
| 国・地域 | 期間 | 概要 |
|---|---|---|
| 南アフリカ | 1886年~ | ヨハネスブルグ近郊で金鉱が発見され、都市が急成長。 |
| アラスカ | 1897~1899年 | クロンダイクと同様、厳しい環境下での金採掘となった。 |
| ニュージーランド | 1860年代 | オタゴ地方で金が発見され、多くの移民が流入。 |
| ブラジル | 1690年代 | ミナスジェライス州で金鉱が発見され、ポルトガルの植民地が繁栄。 |
ゴールドラッシュから生まれた成功者
ゴールドラッシュの時代、特にカリフォルニア・ゴールドラッシュにおいて、多くの人々が金鉱採掘で一攫千金を夢見ましたが、ほとんどが経済的に破綻・もしくは劣悪な労働環境の犠牲者となりました。
結果的にそこで大きな富を築いたのは、採掘者相手に関連ビジネスを展開した商人や起業家たちです。本章では、ゴールドラッシュで成功を収めた代表的な人々をご紹介します。
サミュエル・ブラナン


サンフランシスコで新聞を発行し、金の発見を広めると同時に、採掘用品を高値で販売。彼の店は月に15万ドル(現在の約400万ドル)を売り上げました。
リーバイ・ストラウス


サンフランシスコで衣料品店を開業し、鉱夫向けに丈夫なデニムパンツを販売。これが現在まで続くアパレルブランド「リーバイス」の基となりました。
フィリップ・ダンフォース・アーマー


金鉱採掘者たちに食肉を供給する事業を展開し、約8,000ドルの利益を上げました。ここで得た資金を元手に食肉加工業を始め、彼の設立したアーマー社(Armour & Company)は、現在も精肉会社として続いています。
リーランド・スタンフォード


商人や卸売業者として鉱山用品の雑貨販売で成功し、その後鉄道事業や政治の分野でも活躍。後にスタンフォードは妻のジェーンとともに、現在まで続く名門スタンフォード大学を設立しました。
まとめ
ここまで代表的な人物のみを挙げましたが、ゴールドラッシュにおいて巨万の富を築いた人々は、数えきれない程います。そしてその誰しもが直接金の採掘をしていない、関連ビジネスで成功した人たちです。
対して金の採掘で成功した人に関する情報は、現代まで残っているものはありません。その理由はそもそも金を発掘できなかったことや、例え金を発掘しても継続した資産にはならなかったことが考えられます。
商売は継続性こそが最も重要な要素です。そしてその継続性を生むのが顧客リストです。顧客も持たず、あるかどうかもわからない金鉱を探すことに時間を費やした鉱夫は、いずれ消えゆく運命だったのかもしれません。
参考文献:SpartacusEducational flexport howstuffworks
「採掘ではなく道具を売れ」の汎用性


ここまではゴールドラッシュから導き出される商売の鉄則「採掘ではなく道具を売れ」をご紹介しましたが、これは他の分野でも共通した要素はあるのでしょうか。
本章では、ゴールドラッシュ以降に起こったバブル経済期に視点を変え、その時代における商売の鉄則について考察していきます。
不動産バブル期
1980年後半~1990年初頭の日本では、土地や建物の価格が急騰。いわゆる不動産バブル期の最中にいました。
この時代、不動産所有者はもちろん、建設資材を供給する会社や金融サービスを提供する銀行、さらには不動産取引を仲介する業者も恩恵を受けました。
その中で最も富を獲得したのは、バブル前から土地や不動産を持っていた個人。対して、最も富を失ったのはバブル期に不動産を購入した会社です。
不動産バブルにより最も利益を得た人々
①土地所有者
東京都心・副都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)では、1986年から1992年の間に個人の土地所有者数が10,434人減少。これは土地の所有者が高額で売却し、多額のキャピタル・ゲインを得たことを示唆しています。
②山林所有者
3大都市圏以外の地方部でも、ゴルフ場やレジャー施設の開発目的で山林の売買が活発に行われました。約77万人の山林所有者が土地を売却し、売上規模は合計約67兆円。1人当たり平均で約8,800万円のキャピタル・ゲインを得たと推定されています。
不動産バブルにより最も損失を被った人々
①不動産業者
バブル期初期に東京都心部で土地を取得したのは、資本金10億円以下の非上場不動産業者が多く、これらの会社はバブル崩壊後、相次いで倒産に追い込まれました。
②ゴルフ場開発に参入した会社
バブル期後期には上場企業・大企業がリゾート開発に参入し、山林を取得。しかしこれらの会社は、バブル崩壊後の地価下落により多額の損失を被りました。
不動産バブル期の特徴
不動産バブルにおける特徴は、バブル期に不動産の売買に新規参入した会社が多額の損失を被っていることです。
バブルが弾ける前に不動産を手放せば損失を免れたかもしれませんが、経済は生き物である以上それを予測することはできません。さらに価値が上がり続ける資産を手放すことは、誰にとっても容易なことではありません。
これは不動産価格が上がり続けている現代においても、同様のことが言えるのではないでしょうか。
「道具」を売っていた人々への影響
さて、ここで注目したいのは「道具」を売っていた人々です。彼らはバブル期の恩恵を受けながら、バブルが弾けても自社で保有している資産の価値が下がることはありませんでした。
自社で販売する商品やサービスの価格こそ下がりましたが、これは不動産業界に関わらず、当時日本中のほとんどの会社が同様の影響を受けています。
参考文献: 経済産業研究所
ITバブル期
1990年代後半から2000年代初頭にかけてのITバブルでは、多くのインターネット関連企業が急成長しました。
直接ウェブサービスを提供する会社だけでなく、サーバーやネットワーク機器を販売する会社、ソフトウェア開発ツールを提供する会社、さらにはIT人材を派遣する会社なども大きな利益を上げました。
ITバブル期の特徴
ITバブル期には、多くの開発者や起業家が新興企業を立ち上げ、株式公開(IPO)を通じて巨万の富を築いたとされています。
しかし、実際に成功したのは一部の法人や個人であり、多くのスタートアップ企業はバブル崩壊とともに倒産。開発者や投資家が損失を被りました。
また成功した例でも創業者や投資家が巨万の富を得る一方で、一般の開発者や従業員はそれほどの利益を得られなかったケースも多く存在します。
したがって、ITバブルにおいて開発者全体が巨万の富を築いたという見方には限界があり、むしろ関連するインフラやサービスを提供する会社の方が安定した利益を上げた例が多く見られます。
商売の鉄則


ここまで「金を掘るのではなく道具を売れ」の汎用性についてご紹介しました。
この考えはゴールドラッシュに関わらず、様々な経済現象やバブル期においても適用可能であり、直接的な投資や投機よりも、関連する商品やサービスを提供する方が安定した利益を得られることを示しています。
しかし供給者側は完全にリスクを回避できるわけではなく、バブル崩壊時の市場縮小や取引先の資金難による影響を受けることは考慮する必要があります。
したがって、「採掘ではなく道具を売れ」という考えは、単なる供給ビジネスの推奨ではなく、経営の柔軟性やリスク管理の重要性を示すものとして解釈するのが適切であると言えるでしょう。
最後に
今回は「金を掘らずに道具を売れ」について、その信憑性と汎用性についてご紹介しました。
確かに「道具」を売るという戦略はリスクヘッジ手段として有効です。しかし、当然ながらその全ての会社が生き残るわけではありません。経営における以下の3原則は会社に落とし込むようにしましょう。
- 在庫金額の削減…不況下における現金化が難しい在庫は極力削減する。
- 多様な顧客リストを持つ…自社の販売シェアを一部の業界に偏らないようにする。
- 固定費を削減…市場縮小や取引先の資金難による影響下にあっても事業を継続できるようにする。
今後も現代のビジネスマン向けに情報を発信していきますので、本ブログをブックマークして頂けますと幸いです。





