日本にはどれだけ利益を出しても還元されない会社が数多くあります。
本記事では、年収が上がらない会社・上がりやすい会社の分類と、それぞれの会社の特徴を解説します。

成果と年収が紐づく会社に入りたければ、以下2点の条件に当てはまる必要があります。
- 稼げる業界の会社であること。
- 会社の経営者もしくは役員が、「人に仕事をつけている」と考えていること。
業界の特徴

一般的に営業は年収の3倍以上の売上総利益を上げることが求められています。経営の中で発生する諸経費や、社会保険料の会社負担分など、原価・人件費以外にも会社側が支払わなければいけない費用が数多くあるからです。
しかし中には、年収の3倍以上の利益を稼いでいるにも関わらず、年収が上がらない会社があります。この要因は大きく分けて会社の特徴と業界の特徴が関係しています。
年収の3倍以上の売上総利益を達成するには、利益を出しやすい業界である必要があります。年収が成果に紐づく会社を見つけても、労働集約型などの稼ぎにくい業界は労力と成果が密接に関係するからです。
三菱UFJが発表している業界別の平均年収を見てみると、日本において稼ぎやすい業界は金融、商社、IT、不動産とされています。これらの業界は、以下の2種類に区分することができます。
稼げる業界①金融・商社・不動産
資本集約型のビジネスと呼ばれます。資本集約型の業界は他にもありますが、金融・商社・不動産は商品やサービスの単価が高く物件ごとの労力を抑えれば、短期間でより多くの利益を生み出すことができます。
また仲介業であることも共通の特徴で、商品であるお金・商材・家などを自社で生み出すことはありません。工夫次第で、労力に対する報酬が最も高くなるビジネスモデルとなります。
稼げる業界②IT・情報通信業
こちらは労働集約型のビジネスです。労働集約型は粗利率が高い一方で、個人の成果が報酬に紐付けされないという特徴があります。
それでもITが稼ぎやすいとされるのは、独立時の初期費用の低さや、ユーザーの要求する製品を外注化するSE(システムエンジニア)が仲介業の側面がある為です。
くろひつじつまり、稼げる業界とは商品・サービスの単価が高い仲介業ってことになるんだ。



なるほど。でも単純に考えると、稼ぎやすいのは資産集約型で粗利率が高い業界なんじゃないの?



メン!確かにそう思うよね。結論から言うと、残念ながらそんな業界は存在しないんだ。
粗利率と人件費率の関係性
粗利率が高ければ、会社は資金繰りに余裕が生まれます。また人件費率が低ければ、労働者以外の要因(資産など)が利益が生み出してくれます。
単純に考えれば、粗利率が高く資産集約型の業界が最も稼ぎやすいと思いますが、実際にそんな業界はあるのでしょうか。以下に業界別の粗利率・人件費率の平均値をご紹介します。
業界別の粗利率
| 業種 | 平均粗利率(%) |
|---|---|
| 建設業 | 23.1 |
| 製造業 | 20.3 |
| 情報通信業 | 47.6 |
| 運輸業・郵便業 | 23.3 |
| 商社・卸売業 | 15.1 |
| 小売業 | 30.0 |
| 不動産業、物品賃貸業 | 43.3 |
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 59.4 |
| 宿泊業、飲食サービス業 | 66.2 |
| 生活関連サービス業、娯楽業 | 38.0 |
| サービス業(他に分類されないもの) | 41.4 |
参考文献:マネーフォワード
粗利率とは?
粗利率は、売上高に対する売上総利益(売上高から売上原価を差し引いたもの)の割合を示します。粗利益の計算式は売上高-原価=粗利益、粗利率の計算式は粗利益÷売上高×100=粗利率となります。粗利率の高さは提供するサービスや商品の付加価値が高いことを意味します。
業種別の人件費率
| 業種 | 平均人件費率(%) |
|---|---|
| 建設業 | 8.9 |
| 製造業 | 7.3 |
| 情報通信業 | 19.3 |
| 運輸業・郵便業 | 9.8 |
| 卸売業 | 5.9 |
| 小売業 | 11.6 |
| 不動産業、物品賃貸業 | 10.6 |
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 22.5 |
| 宿泊業、飲食サービス業 | 25.5 |
| 生活関連サービス業、娯楽業 | 13.8 |
| サービス業(他に分類されないもの) | 20.4 |
参考文献:マネーフォワード
人件費率とは?
人件費率とは、売上高に対する人件費の割合を示す数値です。計算式は人件費 ÷ 売上高×100=人件費率となります。人件費には、従業員や役員への給与や賞与・法定福利費・法定時間外労働割増賃金・退職金・福利厚生費・人材採用や教育費などが含まれます。
まとめ
以上のデータを見てみると、粗利率が高い業界と人件費率が低い業界は異なることがわかります。
労働集約型のビジネスモデルは相対的に粗利率も高くなりますが、市場規模が大きい業界は特に参入障壁や労働者へ要求する技術力が低くなる特徴があります。
逆に資本集約型のビジネスモデルは相対的に粗利率が低く、もし薄利多売となれば労働過多にならざるを得ない状況となります。しかしその反面、単価が高い商品を取り扱えば、分母である売上が高い為粗利益も高くなります。
会社の特徴


ここまで金融、商社、IT、不動産業界の業界が稼ぎやすいことをご紹介しましたが、その業界すべての会社が成果と年収が紐づいている訳ではありません。
その会社の経営者もしくは役員が、自社は人に仕事を付けているか仕事に人を付けているかどちらと捉えているかで大きく変わっていきます。
仕事に人を付ける会社とは
仕事に人を付ける会社とは、マクドナルドやコンビニのように既に仕事が成立している状態で、その仕事を従業員に配置するという考え方です。
個人のパフォーマンスが起因する成果があっても、その報酬が個人へ渡ることはありません。個人の成果は、組織全体から見れば経営を左右する程のものではないからです。
特徴
- 日本において、ほとんどの会社がこの考え方に当てはまる。
- 大企業に限らず、中小企業やマニュアルが整備されていない会社でも適用される。
人に仕事を付ける会社とは
人に仕事を付ける会社とは、従業員へ属人的な仕事を任しその成果に見合う報酬を支払うという考え方です。解雇規制が緩いアメリカなどで多いですが、社員のモチベーションに繋がることから日本でも普及しつつあります。
一般的に年功序列廃止とセットで普及することが多いですが、以下2点についても同時に組織に落とし込む必要があります。
- 即戦力採用…人に仕事を付ける会社において、最低限の知識・経験がない新人を採用することは組織全体のモチベーションの低下に繋がります。
- 評価制度の見直し…人に仕事を付ける会社において、組織やチームで仕事を行うことはトップダウンの会社・もしくは上司や同僚・後輩など各方面からの評価制度があって初めて機能します。
まとめ
✔ 「人に仕事を付ける会社」 は成果と報酬を結びつけたい人に向いています。
✔ 「仕事に人を付ける会社」 は個人業績に左右されにくい安定を求める人に向いています。
重要なのは、会社の経営者や役員が自社の会社をどちらで捉えているかです。例え属人的な仕事内容でも、経営者や役員が自社は仕事を人につけていると考えているのなら報酬は結びつきません。
最後に
今回は稼ぎやすい業界と、成果と報酬が結びついている会社の特徴について解説しました。現在自分が働いている会社の経営者や、転職先の最終面接などでこの考えについて聞いてみてください。
これが経営者と意見が食い違えば、いずれ重大なミスマッチとなります。今後のキャリア形成の為にも、是非意識して頂ければと思います。


