組織は個人と同様、変化と新陳代謝により成長しますが、日本の多くの会社は変化を嫌う傾向にあります。
本記事では、「変化を嫌う会社との付き合い方」をテーマとし、会社員が取るべき対策と保守的な理由を解説します。
変化を嫌う会社とは
会社組織では、経営者・管理職・社員それぞれの立場ごとに役割が明確に分かれています。
「経営者」が組織のビジョンを共有し方向性を定め、「管理職」がチームの数値目標に責任を持ち、「社員」が自身の役割を現場で果たしていきます。

個々の役割を果たしていない組織は自然淘汰されるのが常ですが、日本社会は企業の新陳代謝が低い傾向にあり、存続できてしまう実態があります。
日本企業の新陳代謝
OECDの対日経済審査では、「日本企業は入れ替わりが少なく、スタートアップ成長が低い」と記しています。
例えば2020年のVC投資額の対GDP比は、日本25%未満・米国90%・EU67%であり、日本は他国と比べ非常に低くなります。


VC(ベンチャーキャピタル)とは、高い成長性が見込まれる未上場の新興企業(スタートアップ)に対し、将来的な上場(IPO)や売却(M&A)による株式売却益(キャピタルゲイン)を目的として、資金提供や経営支援を行う投資機関です。返済義務のない株式出資で、リスクを取りながら企業の成長をサポートします。
また日本の時価総額上位300社のうち、1960年代以降に生まれた企業は29%と、米国の79%を大きく下回ります。
このように、日本は新規参入や事業転換をする企業より、既存企業の温存が起きやすい構造にあります。
参考文献:OECD Economics Department Working Papers No.1261
終身雇用・年功序列制度
日本は未だ多くの企業が、終身雇用・年功序列制度を採用しています。
日本人は個人主義指数が低く、長期的志向を持ち、不確実性を嫌う特徴があるため、チーム内での調和や相互支援を得意としています。
終身雇用・年功序列制度を採用する会社は、年齢に応じた処遇を与えることで、会社への帰属意識や安心感を高め、日本人の得意とするチームワークや協調を促進しているのです。

このような忠誠心や協調性を重視する環境では、企業間競争により生まれる変化と新陳代謝が起こりづらく、結果として現状維持に徹している会社が多くなっているのが実情です。
変化を嫌う会社の処方薬

変化を嫌う会社を変える処方薬は、「業績の悪化」です。
現状維持が難しい状況に立てば、組織は必然と変化を迫られます。
しかし、自身の役割を果たしていない(現場を知らない)経営者は、現場を知る社員へ改善を丸投げし、結果的に優秀な社員から組織を離脱・更なる経営不振に陥るのが実態です。
V字回復を遂げた企業の例
過去にV字回復を遂げた企業の多くは、経営不振を招いた経営者の入れ替わりが起きています。
- 日本航空株式会社(JAL)
- 経営破綻後、稲盛和夫氏を会長に迎え「アメーバ経営」を導入。社員一人ひとりが経営に参加し、収支管理を可視化することで、わずか6年で業績を急回復させました。
- レゴ(LEGO)
- 業績不振の後、ヨアン・ヴィー・クヌッドストープ氏(現ブランドグループ会長)がCEOに就任し、原点に立ち帰りレゴらしさを取り戻すことに注力。業績をV字回復させました。
- ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)
- 開業後の業績不振により、森岡毅氏がチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)として就任。数々のマーケティング戦略を展開し、V字回復を遂げました。
株主からの指摘・組織改善
本来、組織が新陳代謝を失う前に株主が会社側に指摘するべきですが、日本の株主は会社への関与が少ない傾向にあります。
株主の関与が少ない理由
- 株主提案権の行使要件の厳しさ
- 日本では株主が議題提案を行うための要件が厳しく制限されています。
- 株主総会の形式的運営
- 株主総会は形式的な運営となる場合が多く、株主からの指示が無いこともあります。
- 長期コミットメント主義
- 短期的なコミットを目的とする株主の意見は、経営に反映されにくい特徴があります。
近年では日本でもコーポレートガバナンス改革が進められ、株主の役割強化が図られていますが、依然として株主の指示や関与の頻度は低い状況が続いています。
変化を嫌う会社で会社員がやるべきこと

変化を嫌う会社で会社員がやるべきは、会社の改善を図ることではなく、自身の環境を変化させることです。
会社員にとって、会社はただの止まり木です。そしてその止まり木は、どんなに優秀な鳥が手入れしても寿命を終えれば必ずなくなります。
会社が変化を拒むのであれば、反面教師として転職に活かしたり、副業を始める良い機会として捉えましょう。
転職活動をする
転職活動をするうえで重要なのは、焦って待遇の低いところに行かないことです。
まずは転職エージェントに登録し、現在の収入・環境より良いところがあれば転職しましょう。49歳以下であれば、4割以上もの人が賃金を上げています。

副業に挑戦する
もし日々コツコツと主体的な行動ができる場合は、副業に挑戦するのも一つの方法です。
副業には、本業では得られない様々なメリットが存在します。
- 継続して成功すれば独立も可能。
- 本業の会社に依存しない人材となれる。
- 稼げる金額が青天井のため、本業の年収を超える場合も珍しくない。
転職と比較して即効性はありませんが、継続すれば複数の収入の柱を持つことができます。
副業の概要は以下のブログで解説しておりますので、是非合わせてお読みください。

変化を嫌う会社で生きていくには
変化を嫌う会社の最も大きなデメリットは、社員のモチベーションの低下です。
もし現在管理職に就き、転職・副業が難しい場合は、まず人事評価制度の見直しを行いましょう。
評価制度を設計する際には、従業員のモチベーションとパフォーマンスに関する心理学を理解しておくと便利です。その代表的なものには、「自己決定理論」と「期待理論」があります。
期待理論

組織の期待理論では、人が努力するかどうかは以下の3要素によって決まるとされます。
- 努力が結果に繋がると信じられるか
- 結果が報酬に繋がると信じられるか
- その報酬が個人にとって価値があるか
つまり、評価制度を通じて「努力→評価→報酬」の因果が明確で納得できるほど、社員のモチベーションは上がるのです。
自己決定理論
自己決定理論では、人間の動機は「内発的動機付け」と「外発的動機付け」に分かれるとされます。
内発的動機付けとは、仕事における基本的欲求である「有能感」「自律性」「関係性」が満たされるほど、高品質なパフォーマンスを発揮するというものです。
したがって、公平な評価制度の設計では、社員の自主性や成長実感を促すフィードバックを重視し、報酬も単なる金銭的インセンティブだけでなく、承認や成長機会など多面的に用意することが望ましいとされます。
最後に
今回は、「変化を嫌う会社との付き合い方」をテーマとし、会社員が取るべき対策と保守的な理由を解説しました。






