
- フランチャイズ加盟を検討する人
- 自社をFC展開したい経営者
フランチャイズは、知名度のあるブランドや運営ノウハウを活用して開業できる一方で、ロイヤリティや契約条件次第で利益が大きく変わります。
この記事では、業界別・店舗別のロイヤリティ相場や開業資金の目安、契約前に身に付けておくべき知識を解説します。
フランチャイズの概要
フランチャイズとは、加盟店が本部の商標やビジネスモデルを活用し、独立事業者として店舗運営を行う仕組みです。
加盟店のオーナーは本部の社員ではなく、自らリスクを負う独立経営者として事業を運営します。日本では1970年代から大手コンビニや外食チェーンを中心にフランチャイズが拡大し、現在では小売業・飲食業・サービス業などで定着しています。
市場規模は2023年度時点で約28兆円に達し、全国のフランチャイズ店舗数は約25万店にも上ります。
主な企業
- コンビニ
- セブン‐イレブン(約21,600店舗)
- ファミリーマート(約16,300店舗)
- ローソン(約14,700店舗)
- 外食産業
- マクドナルド(約3,000店舗)
- ケンタッキー(約1,300店舗)
- モスバーガー(約1,300店舗)
- ミスタードーナツ(約1,300店舗)
- CoCo壱番屋(約1,264店舗)
- 小売業
- オートバックス(約1,038店舗)
- ブックオフ(約376店舗)
- ワークマン(約974店舗)
- 教育業
- KUMON(約14,800教室)
- 学研教室(約2,311教室)
- 明光義塾(約1,660教室)
- フィットネス
- カーブス(約2,000店舗)
- エニタイム(約1,200店舗)
- ホワイト急便(クリーニング)
- センチュリー21(不動産仲介)
フランチャイズ加盟店は契約で定められた範囲内で運営し、本部のブランドイメージを守る義務があります。商品ラインナップや価格、販促手法などは本部のガイドラインに従い、独自の大幅な変更はできません。
一方で、加盟店のスタッフはオーナーの雇用下にあり、日々の従業員管理や店舗運営は、各加盟店の責任のもとで行われます。
チェーン店との違い
チェーン店とフランチャイズは、どちらも統一した『名前・商品・内装・サービス』の店舗を展開し、それを本部が一括管理する経営形態を指します。
なお、「フランチャイズ」の対義語は「直営店」であり、フランチャイズ加盟店は本部と契約を結んだ経営者が運営主体となりますが、直営店は本部企業自らが店舗を所有・運営し、店長以下スタッフも本部の被雇用者になります。
ロイヤリティの概要
ロイヤリティとは、フランチャイズ加盟店が本部に対し、商標やビジネスモデルを利用する対価として支払う手数料を指します。
- 売上歩合制…売上高の一定%
- 利益分配制…売上総利益の一定%
- 定額制…月額料金の固定額
- スライド制…売上・粗利に応じ段階的に変化

例えばコンビニが採用している「粗利益分配制」の計算方法には、以下の種類があります。
- 売上総利益×ロイヤリティ率
- {売上高-(売上原価-廃棄ロス原価-棚卸ロス原価)}×ロイヤリティ率
- {売上高-(期首在庫+仕入-期末在庫)+廃棄ロス原価+棚卸ロス原価}×ロイヤリティ率
- {(売上高-期首在庫-仕入)+(期末在庫+廃棄ロス原価+棚卸ロス原価)}×ロイヤリティ率
ロイヤリティ一覧
フランチャイズ方式を採用している、代表的な企業のロイヤリティを見てみましょう。
コンビニ
| 店舗名 | ロイヤリティ方式 | ロイヤリティ率 | 加盟金 |
| セブンイレブン (Aタイプ) 自分で土地店舗を用意 | 利益分配制 | 売上総利益の45% (24時間営業は43%) | 研修費 55万円 開業手数料 110万円 開業時出資金 150万円 |
| セブンイレブン (Cタイプ) 本部が土地店舗を用意 | スライド制 | 売上総利益 ~250万円 56% 250~400万円 66% 400~550万円 71% 550万円~ 76% | 研修費 55万円 開業手数料 55万円 開業時出資金 150万円 |
| ファミリーマート (1FC-A) 自分で土地店舗を用意 | スライド制 | 営業総利益※ ~250万円 49% 250~350万円 39% 350万円以上 36% | 元入金 150万円 加盟金 廃止 開店手数料 廃止 |
| ファミリーマート (2FC-N) 本部が土地店舗を用意 | スライド制 | 営業総利益※ ~250万円 59% 250~350万円 63% 350万円以上 69% | 同上 |
| ローソン (FC-Bn) 自分で土地店舗を用意 | スライド制 | 粗利益 ~300万円 41% 300~450万円 36% 450~600万円 31% 600万円以上 21% ※非24時間営業店△3% | 加盟金 110万円 開業時出資金 100万円 店舗運営資金 100万円 |
| ローソン (FC-Cn) 本部が土地店舗を用意 | スライド制 | 粗利益 ~300万円 45% 300~450万円 70% 450万円~ 60% ※非24時間営業店△3% | 加盟金 110万円 店舗運営資金 100万円 |
※ファミリーマートの『営業総利益』の計算式は、営業総利益=商品総売上高-(売上原価+営業収入)です。この営業収入とは、下図取引類型のうち②~⑤の取引に基づく手数料を指します。

24時間営業可否に伴うロイヤリティの変化
先の表の通り、ローソンでは非24時間営業の場合、ロイヤリティが3%加算されます。
対してセブンイレブンは、下図の通り24時間営業店はロイヤリティが2%減額されます。(売上550万円~の場合)
ファミリーマートでは、ロイヤリティの変化はないものの、24時間営業店には年間144万円支給されます。

飲食業
| 店舗名 | 方式 | ロイヤリティ率 | 加盟金・その他 |
| マクドナルド | 売上歩合制 | 売上高の3% | 加盟金 500万円 広告宣伝費 4.5% システム利用料 0.7% 店舗賃貸料 4.5% (物件により定額) |
| ケンタッキー | 売上歩合制 | 売上高の6% | 公式データ無し |
| モスバーガー | 売上歩合制 | 売上高の1% | 広告宣伝費 1% 加盟金 200万円 保証金 40万円 |
| ミスタードーナツ | 売上歩合制 | 売上高の10% | 加盟金 50万円 初期キット 70万円 |
| CoCo壱番屋 | – | 無し | 加盟金 30万円~ 管理費 売上高の○% |
カレーハウスCoCo壱番屋は独自の「ブルームシステム」(社員独立FC制度)により、開業後のロイヤリティは発生しません。本部の店舗収益は、主に食材の卸売や本部直営店から得るモデルとなっています。
また加盟金は席数に応じて加算される方式で、管理費は明確なパーセンテージでの定めはありません。


カレーハウスCoCo壱番屋は一般加盟の加盟店は募集しておらず、自社社員の独立資格者だけを加盟店オーナー対象者として募集しています。

小売業
| 店舗名 | 方式 | ロイヤリティ率 | 加盟金・その他 |
| オートバックス | 売上歩合制 | 売上高の9% | 加盟金 100万円 保証金 150万円 |
| ブックオフ | 売上歩合制 | 純売上高の4% | 加盟金 200万円 開店指導料 300万円 共同広告費 0.4% レジ1台 55,000円/月 買取端末1台 5,000円/月 NW使用料 17,000円/月 |
| ワークマン | 利益分配制 | 粗利益の60% | 加盟金 41万円 開店手数料 55万円 研修費 27万円 保証金 100万円 |
後述しますが、ワークマンは開業資金(土地・建物・商品)が少ない分、ロイヤリティは小売業全体から見ると高めに設定されています。
その他業界
| 店舗名 | 方式 | ロイヤリティ率 | 加盟金・その他 |
| KUMON | 粗利益分配 | 月謝収入の40~55% | 開設認可料 11万円 |
| 学研教室 | 粗利益分配 | 月謝収入の49% | 開室認可料 55,000円~ |
| 明光義塾 | 売上歩合 | 月謝売上の10% | 加盟金 165万円 研修費 165万円 情報料 660円/月 CM協力金 16,500/月 |
| カーブス | 売上歩合 | 月会費売上の5% | 加盟金 440万円 機器対価 2万ドル 初期研修 55万円 広告分担金 3% |
| エニタイム | 定額制 | 月額35万円 | 加盟金 500万円 |
| ホワイト急便 | 売上歩合 | 売上の70%~75% | 加盟金 100~300万円 |
| センチュリー21 | 売上歩合 | 売買仲介手数料の6% | 加盟金 168~336万円 共同広告費 不明 地域連絡会費 6千~2万円 |
ホワイト急便はクリーニング工場(本部)が実作業を担い、加盟店は店舗受付を運営する形のため、ロイヤリティが高く設定されています。
加盟店は設備投資負担が少なく、本部は工場稼働率向上とチェーン拡大が図れるWin-Winのスキームです。また、加盟金は開業対象の地域により金額が分かれます。

業界別の平均値
なお、経済産業省が公表している、業界別の平均値は以下になります。

ロイヤリティはあくまで一つの指標であり、本部から仕入れる商品の商品原価にも注意が必要です。
企業により、ロイヤリティを安価に見せて商品原価で稼ぐビジネスモデルも存在するためです。
開業資金の相場
基本的にはどのフランチャイズも兼業が不可であり、オーナー自身がその業務に専念する必要があります。また土地・建物・設備・商材仕入れの費用はすべてオーナーが負担します。(ワークマン以外)
開業資金が膨大になるため、基本的には銀行などから融資を受ける必要がありますが、自己資金目安が決められている場合もあります。
飲食業
| 店舗名 | 開業資金 (土地・建物代は含まず) | 融資制度 | 契約形態 |
| マクドナルド | 約1億円 ※25%は自己資金 | 無し | 法人契約 |
| モスバーガー | 店舗:約6,000万円 テナント:約4,000万円 | 無し | 個人・法人可 |
| ミスタードーナツ | 約3,400万円 ※30~40%は自己資金 | 無し | 個人・法人可 |
| CoCo壱番屋 | 約5,000万円 | 有り | 個人・法人可 |
CoCo壱番屋には本部による『債務保証制度』があり、開業資金の借入に本部が保証人となって支援するため、加盟店オーナーは自己資金200万円程度を貯めれば残りの数千万円規模の店舗開設資金を銀行融資で調達できます。
小売業
| 店舗名 | 開業資金 (土地・建物代は含まず) | 融資制度 | 契約形態 |
| オートバックス | 約1億円 | 無し | 法人契約 |
| ブックオフ | 約4,000万円 | 有り ※商品融資有り | 個人・法人可 ※古物商許可の取得要 |
| ワークマン | 約246万円 ※土地・建物は本部負担 | 有り ※商品融資有り | 個人契約 |
ブックオフでは、商品在庫はお客様からの買取で集めますが、開業時には一定量の在庫を用意するため、本部や既存店からの商品融通を受ける場合があります。この際の在庫は加盟店が本部から買い取る形となり、代金は開業支援策として分割払いや在庫保証制度が適用されることもあります。
またワークマンは、本部が店舗建設・商品仕入れを行い、加盟店オーナーに運営を委託しています。
店舗物件費や内外装・設備費は本部が負担し、さらに開店時の商品在庫(約2,880万円相当)は本部から年2.5%の融資を受ける仕組みのため、オーナー側の借入負担も小さく抑えられています。
開業時に必要な自己資金は「加盟金・手数料・研修費・保証金など合計約246万円のみ」であり、そのうち保証金100万円以外は契約期間中に償却されます。
その他業界
| 店舗名 | 開業資金 (土地・建物代は含まず) | 融資制度 | 契約形態 |
| KUMON | 備品・教材費のみ | 必要無し (最大30万円の本部援助) | 個人契約 |
| 学研教室 | 備品・教材費のみ | 必要無し (最大11万円の本部援助) | 個人契約 |
| 明光義塾 | 約600万円 | 無し | 個人・法人可 |
| カーブス | 約3,000万円 | 無し | 個人・法人可 |
| エニタイム | 約8,000万円 | 無し (資金調達サポートは有) | 個人・法人可 |
| ホワイト急便 | 約70万円+加盟金 | 必要無し (分割払いが可能) | 個人契約 |
| センチュリー21 | 約1,000万円 | 無し | 個人・法人可 |
新野くん業界に関わらず、初期費用が高い企業はロイヤリティが低くて、初期費用が低い企業はロイヤリティが高いんだね。



そうだね。サービス業は在庫リスクが低いから融資が通り易いんだけど、それでも自己資金額が2割程度必要だからね。
フランチャイズ経営をするべきか
商売においてリスクとリターンは連動します。
フランチャイズの経営は総じて安定傾向にありますが、いわゆる雇われ社長のような「自由度が低く大きく稼げない」デメリットも存在します。
主なデメリット


- ⾃店の商圏内に同じ加盟店が後発開店し、収益ダウンが発生する可能性がある。
- 他店の不祥事により、突発的な収益ダウンが発生する可能性がある。
- 開業時からの集客が見込める反面、得られる収益が少ない。
- 経営の自由度が低く、独自性を出しにくい。
フランチャイズシステムにおける仕入先は、本部が指定または推奨する商品・サービスの提供業者です。多くの場合、本部が仕入先との間で基本契約を締結し、加盟店は本部を通じて商品を調達します。
また本部の主な権利として、商標権の保護、加盟店の営業活動に対する指導・監督権、契約違反時の解除権があります。
何かしらのトラブルが発生した際、本部が法律(中⼩⼩売商業振興法・独占禁⽌法)に違反していない限り、主導権を持つのは本部側なのが実態です。
生存率及び赤字率
個人開業の5年後生存率は約30%とされますが、フランチャイズ開業の5年後生存率は60~70%と2倍近い差があります。
但し、この「生存率」には赤字でも営業を続けるケースも含まれる点に留意が必要です。フランチャイズは本部との契約上、中途撤退が難しいため、表面的な存続率が上がる側面もあります。


加盟店が投資資金を回収できる期間は、半数以上が5年~10年間に設定しています。
そのうち、40%以上が「予定より遅れているか、回収の見込みが立たない」と回答しており、『生存しているからといって安定しているわけではない』実態が伺えます。
実際、「オープンアカウント」を採用している企業では、赤字から抜け出せなくなる加盟店も存在します。
オープンアカウント
オープンアカウントとは、売上が落ちて赤字になった月に、運営費(オーナー収入・人件費など)を自動的に本部から融資される仕組みを指します。
- 毎日の売上を加盟店が本部に送金
- 本部が1ヶ月単位で債権債務を相殺
- さらにロイヤリティを引き
- 残りの金額を翌月に加盟店側に支払い
- 加盟店はそこから人件費・光熱費など諸費用を支払う
- 加盟店側の勘定がマイナスとなる場合は、本部から自動的に不足分の金額が融資される(通常金利付き)


オーナーの年間収入


フランチャイズ加盟店におけるオーナーの年間収入は、1,000万円~5,000万円が最も多くの割合を占めており、収入面では平均年収より高い傾向があります。
よって、『現在休みなく働いているが平均年収に満たない』人にとっては、上述のリスクを考慮した上で、加盟店オーナーを検討しても良いと言えるでしょう。
参考文献:フランチャイズ・チェーン事業経営実態調査報告書|経済産業省
最後に
今回は、業界別・店舗別のロイヤリティ相場や開業資金の目安、契約前に身に付けておくべき知識を解説しました。










