起業前に必ず押さえたい基礎知識|撤退基準・固定費・持株比率の経営権

この記事のまとめ!

起業する前には、その業種の平均廃業率や固定費の削減方法など、知っておいた方が良い知識が存在します。

本記事では、『起業する前に知っておくべきこと』をテーマとし、撤退基準の決め方や気を付けるべきポイントについて解説します。

目次

撤退基準

起業直後の事業は多くの場合、軌道に乗るまで赤字(もしくは収益なしの状態)が続きます。

また商売には再現性がないため、自分(または自社)が思考するビジネスプランが『市場ニーズを捉えているか』は、実際にやってみるまで判断しにくいです。

そんな将来性が不明確なことにリソースを投下するには、事前に「ココまでやってみてダメだったら方向転換しよう」とする撤退基準を設ける必要があります。

創業の実態に関する調査報告書|東京商工会議所

東京商工会議所のデータによると、1年以内に解散・廃業する事業所は4.4%程度に留まりますが、3年スパンでは約6割が解散に至り、5年・10年と時間が経つほど解散率が累積して高まります。

しかし同時に、時間が経過するごとに黒字化または赤字脱却する事業所も多くなっていき、5年目になると赤字事業所の割合は2割程度にまで減少します。

二極化の分岐点

撤退基準は、黒字事業所と赤字事業所が二極化する場所で設ければ、自分(自社)が市場ニーズを捉えているかが判断できます。

先の図で言うと、赤字脱却する事業所が最も多いのは2年目(64.3%→33.3%)であり、また黒字化する事業所は4年目(49.2%)が最も多くなります。

くろひつじ

つまり、少なくとも2年間は一つの事業をやり続けることになるね。因みに一般論として、撤退基準は3年間と考える人が多く「3年で単年度黒字化、5年で累積損失解消」を目標に掲げる会社が多いんだ。

業種ごとの違い

創業の実態に関する調査報告書|東京商工会議所

また、参入する業種によって黒字事業所・赤字事業所それぞれの割合が異なります。

新規参入企業が薄利多売型となる傾向が強い「小売業」や、初期投資額の大きい「製造業」は赤字企業の割合が高い一方で、「建設業・卸売業」は、黒字化している企業の割合が高くなります。

自身が参入する業種が「儲けにくい業種」に該当する場合、撤退基準は長めに設定しましょう。

固定費の削減

企業の存続年数は、「固定費の大きさ」と「起業資金の潤沢さ」に比例します。

そしてこの両者のうち、重要となるのが固定費の方です。起業には予測不能の出費が多いため、如何にして日々の出費を避けるかが存続のカギとなります。

くろひつじ

固定費は取引量に応じて増減しない(資金回収ができない出費)だから、可能な限り削減する必要があるんだ。

固定費の代表例

  • 家賃
  • 人件費
  • 通信費、水道光熱費の基本料金
  • 減価償却費、保険料、固定資産税、駐車場代

代表的な固定費の中でも、最も大きな出費となるのが家賃人件費です。この2点を削減することが、会社存続に向けて大きな効果を持ちます。

事務所は少額に

店舗型の「小売業」や生産設備が必要な「製造業」でない限り、事務所の家賃はなるべく少額に抑えましょう。

会社設立に必要なのは「オフィス」ではなく、あくまで「住所」であるため、自宅やレンタルオフィス(運営会社が許可している場合)でも登録可能です。

従業員はなるべく雇わない

起業当初の不安定な期間は、経営状況に臨機応変に対応できるよう、従業員ではなく業務委託(外注)を活用しましょう。

業務委託は、従業員を雇う場合と比較し以下のようなメリットが存在します。

消費税の節税効果

従業員への給与・賞与は消費税の課税対象外ですが、委託先への支払いは課税対象となります。

よって、外注費に含まれる消費税は課税取引(仕入税額控除の対象)となり、消費税納税額を減らす効果があります。

保険料負担の軽減

従業員を雇用すると、健康保険・厚生年金は会社と従業員で折半し、労災保険料は会社の全額負担となります。

一方で業務委託の場合、発注先の個人は会社の社会保険被保険者とはならず、雇用保険の適用も受けないため、これら保険料を負担する必要がありません。

人材リスクの軽減

従業員は労働契約法や労働基準法によって保護されており、雇用者都合での解雇は厳しく制限されています。

一方、業務委託契約の場合は民法上の「請負契約」となるため、労働者保護規定は直接適用されません。

よって、会社側から契約を解除するハードルは雇用より低く、契約書の定めに従って比較的短期間で契約終了が可能です。

くろひつじ

但し、業務委託先に落ち度がないのに一方的に契約を打ち切れば、契約不履行として損害賠償請求される可能性はあるよ。

持株比率ごとの経営権

株式会社を起業する場合、あなたはその会社の株式を100%保有することになります。そして、株主はその持株比率により、企業のオーナーとして事実上「会社を所有」することができます。

株式発行比率の過半数(51%以上)を保有すれば、その会社で自分を役員に任命し、所定労働時間の制約が無い中で自分で決めた役員報酬を得ることができるのです。

スクロールできます
持株比率権限
100%(全株保有)すべての決議を単独可決できる
66.7%以上特別決議を単独で可決できる
51%以上(過半数保有)普通決議を単独で可決できる
33.4%以上特別決議を単独で拒否できる
1%以上または300個以上の議決権株主提案権を行使できる
ココがポイント!

特別決議では、M&Aなどの会社の構造に関わる重要事項を決定します。この決議を可決するには、議決権の3分の2以上の賛成が必要とされます。したがって、持株比率が66.7%以上であれば、特別決議を単独で可決することができ、逆に33.4%以上の持株比率を有する株主は、特別決議を単独で阻止することができます。 

株主総会の「普通決議」

可決要件

  • 出席株主の過半数の賛成

決議事項

  • 取締役や監査役の選任・解任
  • 役員報酬の決定
  • 決算書類の承認
  • 剰余金(配当金)の処分
  • 取締役の責任免除

株主総会の「特別決議」

可決要件

  • 出席株主の3分の2以上の賛成

決議事項

  • 定款の変更
  • 株式譲渡制限の設定・変更
  • 株式併合・株式分割
  • 事業の譲渡・譲受
  • 合併・会社分割・株式交換・株式移転などの組織再編
  • 解散、清算人の選任
くろひつじ

ちなみに、議決権がない株式も存在するよ。例えば、前澤友作氏による「カブアンド」が代表例だね!

株主総会と取締役会の違いとは?

株主総会はすべての株式会社での実施が義務付けられていますが、取締役会は非上場会社では任意設置となります。また、取締役会の決議事項は業務執行に関する意思決定に限定されます。

共同経営の危険性

ハーバード大学のジョン・P・コッター教授は、経営者(マネージャー)の役割は「将来のビジョンを共有し方向性を定めることから始まる」と述べています。

例えば企業のトップが「5年後に市場シェア1位になる」というビジョンを掲げ、それに向けた戦略を打ち出せば、組織全体が同じゴールに向かって動き出すことができます。

しかし例えば友人や知り合いと、経営権(持株比率)の交渉をしないまま起業した場合、この会社の経営権は均衡し「将来のビジョン」が分散されてしまいます。

最後に

今回は、『起業する前に知っておくべきこと』をテーマとし、撤退基準の決め方や気を付けるべきポイントについて解説しました。

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