
- コーチングに興味がある人
- コーチングを利用したい人
昨今、コーチングという言葉をよく耳にしますが、コーチングビジネスとはどのような商売なのでしょうか。
本記事では、「コーチングを受ける価値」をテーマとし、コーチングビジネスの付加価値について解説します。
コーチングとは
コーチングとは、利用者に対して「目標の達成」や「自発性を促すこと」を支援するビジネスです。
用語の意味合いはスポーツ指導のコーチと同じですが、利用者のジャンルはスポーツだけには限りません。
コーチングの歴史
コーチングは、1980年代にアメリカでスポーツ以外のビジネス分野へ広がりました。1990年代末頃から日本にも徐々に普及し、以来20年以上かけて認知度を高め続けています。
昨今はYouTubeやSNSでコーチングの様子が発信されたり、インフルエンサーがコーチングビジネスに参入するなど、市場の裾野が着実に広がってきています。
新野くん「他人を変える」ことは何よりも難しいことなのに、それをビジネスにするって凄い業態だね、、



顧客さえいれば仕入れ(在庫)0でできるビジネスだから、特に発信力のある人にとっては参入しやすいのかもね。
利用者の傾向
コーチングの主な利用者は、自己成長意欲の高い個人・または会社としてコーチングを取り入れている企業です。
2000年代以降、コーチングを福利厚生の一環として取り入れる会社が増えており、人材開発・自己啓発の手法として活用されています。
日本最大手のコーチング企業であるコーチ・エィ社の調査によれば、2015年に約50億円規模だった国内コーチング市場は、2020年に約300億円に達し、その後も年率50%以上で成長しています。



費用対効果はさておき、「目標達成のための協働作業」っていう意味では、コンサルや商社の営業と似た側面があるかもね。
コーチングの付加価値
コーチングは、万人にお勧めできるサービスではありません。
コーチが支援する内容は、本来支援を必要とせず、自分自身で達成すべきことだからです。
コーチングの目的
- 自発性を促す
- 利用者が自分自身で考え、行動するのをサポートします。
- 気づきを与える
- 利用者が自分自身で目標を見つけ出すのをサポートします。
- 目標達成を支援
- 利用者個人の目標と所属する組織のビジョンを結びつけ、パフォーマンスの最大化を計ります。
コーチングビジネスの市場規模が拡大していることは、「目的・目標を見つけ出しサポートしてくれる存在」を求めている人が多いことの裏返しでもあります。
しかし、カナダの精神科医エリック・バーン氏が遺した言葉『過去と他人は変えられない』は人間社会の原理であり、その原理に相反しコーチングビジネスは『他人を変えることに責任を持つ』商売をしています。
コーチングの流れ
コーチングサービスのプロセスは、利用者の課題や目標に沿って進められます。基本的な進行プロセスの一例を示すと、次のようなステップがあります。
コーチと利用者で具体的かつ達成可能な目標を定めます。
現在の状況を整理し、目標とのギャップや障害となる課題を洗い出します。
目標達成に向けた行動計画(アクションプラン)を策定します。
定期セッションで行動の進捗を確認し、必要に応じ行動計画を修正します。
セッションの区切りごとに成果や課題を振り返り、コーチからフィードバックを受けます。
目標設定や課題の洗い出し・進捗確認は、他人が入ることによってより顕在化される側面があり、これがコーチングを利用する付加価値とされています。



スポーツ選手のコーチというより、コンサルタントの業務内容の方が近い気がするね。
なぜスポーツにはコーチがいるのか
2008年にカナダのオリンピックチームが、27人のスポーツ選手と30人のコーチを対象に調査した結果、メダル獲得や自己ベストを更新する最も大きな要因は『コーチとアスリートの信頼関係である』と結論付けました。
スポーツ選手のコーチは、選手に対して具体的な技術指導・戦術指導を行えるほどのプロ(または元プロ)であり、そのほとんどが体育系の大学・専門学校を卒業し「スポーツ指導者」の資格を取得しています。
また、彼らは担当する選手の数を意図的に制限しており、日々のリソースを担当選手の分析・他選手の動向調査・進捗確認などに投下しています。
参考文献:The Coach-Athlete Relationship is a Performance Factor|Athlete Assessments
スポーツ選手のコーチとコーチングの違い
対して、例えば経営者向けのエグゼクティブコーチングは、一度に複数のクライアントを担当し、かつ彼らは経営者が展開するビジネスの専門性はありません。
よって、この両者は『コーチの質が異なる』ものであり、エグゼクティブコーチングは、どちらかと言うと企業コンサルの方に似ています。


エグゼクティブコーチングとは、社長や取締役などの経営層を対象にしたコーチングのことです。意思決定の質の向上、経営層の意識変革や行動変革、経営幹部候補者の育成などを目的としています。
コーチングを依頼せずできること
コーチが利用者の目的・目標を見つけ出すプロセスは、利用者に『なぜ?を繰り返させ潜在的に達成したい目標を見つけ出す』ことから始まります。
このプロセスは、自己分析に使われる「マインドマップ」と同様の手法であり、本来は第三者を介さず自問自答を繰り返した方が、自身の『建前を抜きにした本音』を導きやすいです。
目的・目標を明確にする


目標を明確化するには「自分にとって幸せとは」というテーマで、マインドマップを作成します。上図では省いていますが、項目ごとに「なぜ?」を問いかけ、回答の明確化・目標の細分化を行います。
できるだけ具体的に、かつ数字を落とし込んだ内容にすれば、より自分の「やりたいこと」が明確になってきます。
マインドマップのアプリは、無料で、かつGoogleアカウントに連携できるマインドマイスターがお勧めです。




自分が何をしたいのか、その答えは自分にしか分かりません。「幼少期の自分はどんな性格だったか?」「学生時代は何に熱中していたか?」などの意見を家族や友人に聞くのは良いですが、基本的には率直な自分だけの答えを探しましょう。
自発性を促す
自発性は本来、第三者からのアプローチ(外発的要因)で向上するものではなく、『自分がやりたいことをやる』ことで向上します。
自己決定理論では、人間は3つの基本的心理欲求「自律性」「有能感」「関係性」が満たされると、内発的モチベーションが向上し、持続的な行動に繋がるとされています。


- 自律性
- 自分の価値観に基づいて行動する。
- 有能感
- 自分の能力を発揮し、課題に挑戦できる。
- 関係性
- 他者との繋がりを感じ、社会的に受け入れられる。
従来では、持続的な行動を促す手法には外発的動機付け(報酬や罰則)を用いることが一般的でしたが、現代はこの方法は自主性が妨げられ、持続的なモチベーションには繋がりにくいとされています。
最初の一歩をどう切り出すか
但し、自発性に関する知識をいくら身に付けても、それが自身の行動を引き起こす原理にはなり得ません。
私たちが持続的な行動をするために必要なのは、『今できることを今この瞬間から始める』ことだけです。物事のやる気は行動の前に湧いてくるというより、行動した後についてくる「作業興奮的性質」があります。


作業興奮とは、19世紀末にドイツの心理学者エミール・クレペリン氏が、実験により証明した性質です。クレペリン氏の実験では、被験者に単純な計算課題を連続して行わせ作業量を記録したところ、開始直後は作業量が少ないものの、暫くすると作業量が徐々に増加して、一定時間後にピークに達することが確認されました。
やる気が出る仕組み
具体的には、何かに手を付けて指や目を動かすと、その刺激によって大脳基底核の一部である側坐核(そくざかく)が反応し、神経伝達物質のアセチルコリンが分泌されます。
アセチルコリンには脳の覚醒度を上げて、集中力ややる気を引き出す作用があり、文字通り「エンジンがかかる」状態になります。



この作業興奮は作業開始5~10分程度で生じるとされ、始めは気乗りしなかった人も「もう少しやってみよう」という気持ちに切り替わりやすくなるんだ。
さらに作業を進めて部分的な達成を感じると、脳は今度はドーパミンを分泌します。
ドーパミンによって達成の快感を覚えると「もっと続けたい」という意欲が湧き、「どうすれば効率的に進められるか」「どうすれば継続できるのか」などの自己修正が進みます。
そうして、作業開始→集中→部分達成→快感→修正→作業開始という好循環が生まれるのです。
最後に
今回は、「コーチングを受ける価値」をテーマとし、コーチングビジネスの付加価値について解説しました。
コーチングのように、誰かのサポートを求めることは否定しませんが、もし有償で依頼するのであれば、その課題は目標や自主性などの『主体性』ではなく、壁に当たった時の解決策などの『専門性』であるべきでしょう。










