私は現役で商社の営業マンをしています。会社にもよりますが、多くの会社では社内業務は営業自身が行うのが一般的です。よくアシスタントが行うと誤認されますが、実際には任せる作業は限られています。
この理由は、例え社内業務であっても、そのパフォーマンスが顧客や取引先との関係に影響すると考えられている為です。その一方で、昨今ではスタートアップを中心に、社内業務のAI化を進めている会社も存在します。
今回は、営業は社内業務をやるべきかをテーマとし、営業の役割や今後の在り方にについてご紹介します。

- 自社の業務内容に疑問を持っている営業マン
- 社内の業務プロセスを検討している経営者
新野くん営業って外回りしてるイメージが強いけど、社内業務もやるんだね。なんか全然時間が足らなそうだけど。



メン!そうだね。特に稼いでる人ほど膨大な社内業務に追われて、本来の営業活動ができないパターンも少なくないんだ。
本ブログにおける社内業務とは、以下のような仕事を指しています。会社の経営者によっては、この全てを営業がやるべきだと考えている人も珍しくありません。
- メール処理
- 売上処理、伝票処理
- 社内エントリー、注文書発行
- 取引先への支払い、現金回収
確かに営業活動の中で発生する会話の中では、このような話題が出る機会は多々あります。しかし、あくまで営業は処理された内容を把握すれば良い為、これらのタスクを実際に営業が行うべきかは別問題です。
実際にAI化を進めている会社では、AIがこれらのタスク処理を行い、その処理された内容を営業が事後把握できるよう社内サーバーに残しています。


- 営業の役割とは、顧客を知り信頼を獲得することである。
- 社内業務は顧客の安心を獲得できるが、その特性は営業の役割とは相反する。
- 社員が会社組織の循環を改善するのは不可能で有り、変化点か所属組織の変更が必要である。
営業の役割


業務内容を振り分けるには、まず営業の仕事を定義する必要があります。私は営業の目的や役割を、以下のように定義しています。
目的
会社の業績を向上する。
役割
- 顧客の好きを獲得する。
- 顧客が求めている商品やサービスを提案する。
これは以前ご紹介した以下のブログの内容を引用しています。よく言われる言葉を用いれば、顧客を知り信頼を獲得することです。これは営業の目的である、売上を向上する為の手段とも言えます。


感情で売る
なぜ営業は顧客の好きを獲得するのか。それは人は論理ではなく感情でその商品やサービスを買うかを判断するからです。
USJの森岡毅氏は2011年、クリスマスに流すTVCMにおいて、コアターゲットを「小さな子供連れファミリー」と定め子供と本気で楽しめるクリスマスはあと何回もないというキャッチコピーを作りました。
この言葉は現在まで語り継がれる程のインパクトを社会に与え、結果的に同年のUSJの年間来場者数は約880万人で、前年の2010年から約14%の増加となりました。
顧客は営業が紹介する商品やサービスを、理屈ではなく感情的に判断します。
顧客を知る
次に、なぜ営業は顧客が求めている商品やサービスを提案する必要があるのか。それは顧客自身が自分の求めている商品やサービスがわからないからです。
顧客は本音を言いません。例えばマクドナルドは、2006年にサラダマックを発売しました。これは同社が実施した消費者へのアンケートにおいて、ヘルシー・低カロリー・オーガニックを要望する声が多かった為です。
しかし実際にはサラダ類の売上は全体の2~3%に過ぎず、早々に販売を取りやめました。顧客の求めているものを突き止めるには、顧客の意見を聞くことではなく顧客を知ることが重要です。
営業の実情


さて、ここで社内業務の話に戻ります。前述した以下の社内業務の中で、顧客を知り信頼を獲得する要素があるのかを考えてみましょう。
社内業務
- メール処理
- 売上処理、伝票処理
- 社内エントリー、注文書発行
- 取引先への支払い、現金回収
結論から言うと、これらのタスクは顧客の安心を獲得するものです。顧客の安心が重要になる場面は、営業を終えた後。つまり顧客が自社の商品やサービスを購入した、もしくは相見積先として土俵に乗った後になります。
顧客の安心
顧客の安心に繋がる要素は、大きく分けて以下の2種類に分類できます。
- 商品やサービスに関するQ&Aの正確性
- マニュアル業務の正確性
特にメール処理は、以下のような要素があれば顧客はより安心感を抱いてくれます。
安心感を与える要素
- 顧客が求めている回答を返信する
- レスポンスが早い
- 文章が丁寧
しかし、これらの要素を満たす適任者は営業ではありません。外出の多い営業はスピードが求められる要素は難しく、また商品知識が求められる回答も本職ではありません。
この適任者は、その商品の製造か技術者、及び事務やアシスタントとなります。もし営業以外の人がこれらの要素を満たせば、顧客は営業個人だけでなく会社に対する安心感も抱いてくれます。
負のスパイラル
しかし、特にB2Bビジネスを主とする会社の多くは、本来両立の難しい社内業務を営業がやることで、逆に顧客の不安感を煽ってしまっている実態があります。
もし営業がこれらのタスクを力技で押し切ったとしても、営業自身が自社に対する不安感を募らせ、モチベーションの低下や転職を招いてしまいます。
社内業務と営業の役割は相反する


顧客を知り信頼を獲得するには「笑顔で」「顧客を知り」「商品の提案」を行いますが、これは顧客と物理的に近い距離にいて初めて効力を発揮します。
社内業務のように、場所を固定される仕事は営業の役割とは相反するのです。
電話やメール等、遠距離から顧客と関わることは可能ですが、人間関係において相手の顔が見れない状況で信頼を獲得することはできません。少なくとも、面直可能な競合他社より圧倒的に不利となります。
PCやスマホを持ち歩けば表面的には仕事をしているように見えますが、これは単なるQ&Aであり本質的な営業活動にはなり得ません。
問題定義
では、なぜこのような社内業務を行う営業が増えたのでしょうか。それは、この判断を下す経営者や管理職が現場の役割や実績を直視せず、ただ自身の役割だけを直視し続けた結果とも考えられます。
当然ながら、経営者や管理職は現場のプロではありません。会社組織における役職は以下の3種類に分類でき、それぞれが個々の役割を循環させて初めて組織として機能します。


上図のような階層で組織を表した場合、例えば社員が営業活動へ集中する必要性を提案をしても、それを管理職が受け入れなければ当然ながら改善しません。
また、管理職が適材適所の観点から営業の仕事から社内業務を省く提案をしても、経営者がそれを受け入れない限り改善しません。これは逆に、経営者から管理職、管理職から社員でも同じことが起きます。
このような、いわゆる組織内での循環がない会社では、到底生産的とは思えないような事柄が当然のように起きるのです。
解決策
この解決策は多岐に渡ります。特に経営者の場合はシンプルで、社内業務を技術者やアシスタントに振り分けたり、固定費が懸念される場合は外注化するのも有りでしょう。
また経歴の浅いスタートアップの場合、組織が動きやすいうちからAI化を検討するのも1つの方法です。
しかしその一方で、社員がこの課題を解決する場合は少し毛色が変わります。特に会社組織に決定権がない社員は、この課題を直接的に解決することはできません。
社員がやるべき事項
社員が行える解決策は、会社組織全体が当事者意識を持つレベルの変化点に直面させるか、社員自身が所属する組織を変えるかのどちらかになります。
前者の場合は、例えば業績が著しく悪化したパターンです。この理由は何でも良く、参入市場の縮小や競合の参入等、何かしらの理由で業績が悪化すればそれが会社の変化点となり、何もしなくても組織の見直しが入ります。
また後者の場合は、例えば転職や副業等で、所属する組織自体を変える選択肢を持つことです。このような属人的な組織で働いていれば、転職した結果仕事量が減り給与は上がったという人も少なくありません。
また、副業によって同じ悩みを抱える会社を顧客とした代行会社を設立したり、全く異なるジャンルへ挑戦し、金銭的な依存から解放される目標を持つのも良いでしょう。
最後に
今回は営業は社内業務をやるべきかをテーマとし、営業の役割や今後の在り方についてご紹介しました。
組織とは非常に複雑です。例えその仕事が非合理的なものでも、その課題を認識できる人や解決できる人は限られ、これにより所属する組織によって常識すら変わってきます。
しかしそんな中でも、自分が疑問に思ったことは否定してはいけません。自分の直感的な声は、新しいビジネスチャンスであり自身の労力として変換することもできるのです。
今後も現代のビジネスマン向けに情報を発信していきますので、本ブログをブックマークして頂けますと幸いです。





