私は現役で商社の営業マンをしています。
現在営業職・マーケティング職に就いている人や、起業・副業している人は、一度は「集客ツール」について考えたことがあると思います。
今回は、「すべての商売は、人に好かれる競技である」をテーマとし、見込み顧客獲得から選定される方法までご紹介します。

- 起業・副業している人
- 営業職・マーケティング職に就いている人

人に好かれることってそんなに重要なの?

メン!商売において「人を集める」のも「人に選んでもらう」のも、『人に好かれる』ことで実現できるんだ。
技術進歩が成熟した業界では、既存の商売における「商品のクオリティ」は高くて当たり前です。
その中で、商売に付随する付加価値をどう差別化するかが成功のカギであり、個人が他者と差別化するには、相手に好かれることが最も効果的です。
尚、今回も個人の独断と偏見を含みますので、酔った商社マンの話に付き合ってる気分で、気軽にお読みください。
すべての商売は人に好かれる競技である
どのような商売であっても、「人を集めて」「人に選んでもらう」競技をしています。
これは普遍的な原則であり、どの国・いつの時代であっても、共通している””商売の鉄則””です。
営業の役割
そして、この競技を会社組織として生業としているのが、私たち営業職です。
営業は、「訪問・電話・メール・展示会」などで人を集め、見込み顧客に選んでもらえるよう付加価値を構築しています。
パイプラインの重要性
人を集めるとは、「人に自分の商売を認知してもらい、見込み顧客(リード)を獲得する」ことを指します。
この見込み顧客が多いほど売上のブレが小さくなり、会社は長期的な業績が安定します。
その理由は、商談候補の蓄えである「営業のパイプライン」が将来の売上を下支えし、特定の顧客への依存率を減らす効果があるためです。
顧客依存のリスク
限られた大口案件に頼るビジネスは、一件失注や一顧客喪失の影響が極めて大きく、収益が急落するリスクを伴います。
「人を集める」重要性は、起業当初の集客はもちろんのこと、業績が安定している大企業であっても同様の効力を持つのです。
実際にSaaS業界の投資家であるジェイソン レムキン氏は、「リードの月次増加率こそが今期の売上成長より重視すべき」だと述べています。
顧客化する比率
見込み顧客の案件は、失注の可能性を見込んで、目標額の3倍が理想とされています。
見込み顧客から商談・受注に至るまでには、大きな目減りが生じ、ごく一部のみしか最終的に顧客化しないためです。
そして、その顧客化される比率は業界ごとに異なります。

https://www.ebis.ne.jp/column/mql-sql/
- リード:見込み顧客
- MQL:関心を示している見込み顧客
- SQL:受注する可能性が高い案件
- Closed:成約案件
業界 | リード→MQL | MQL→SQL | SQL→Closed |
航空宇宙 | 18% | 32% | 61% |
自動車 | 21% | 42% | 49% |
B2B SaaS | 39% | 38% | 37% |
バイオ | 36% | 40% | 55% |
建設業 | 17% | 37% | 54% |
Eコマース | 23% | 58% | 60% |
金融サービス | 29% | 38% | 53% |
ヘルスケア | 24% | 38% | 51% |
産業用IoT | 22% | 39% | 51% |
製造業 | 26% | 41% | 51% |
医薬品 | 41% | 56% | 64% |
不動産 | 27% | 33% | 53% |
IT・ソフトウェア | 28% | 39% | 59% |
このように、業種によってバラつきが大きいものの、安定した売上を得るには十分な母数が不可欠です。
参考文献:FirstPageSage mosaic
リードを獲得する方法

見込み顧客の母数が重要なのはわかったけど、どうやって集客すれば良いの?

集客ツールは業界に関わらず、ある程度共通しているんだ。その手法と、それぞれのメリット・デメリットを見てみよう。
コンテンツマーケティング
(投資するもの:時間)
YouTubeやSNS、ブログなどで有益な情報コンテンツを発信し、見込み客を獲得する手法です。
メリット
- 有益な情報を通じ信頼関係を構築できる。
- コンテンツを蓄積すれば安定した流入が期待でき、広告より費用対効果が高い。
2023年にHubSpotが発表した調査によると、B2B企業の71%が「コンテンツマーケティングで見込み顧客を獲得している」と回答しており、そのうちの多くが「広告よりも費用対効果が高い」と評価しています。
デメリット
- 成果が出るまでに時間がかかる。(長い場合は2年以上)
- 「誰に何を届けるか」の設計が不十分だと効果が出にくい。
コンテンツマーケティングで成功してる企業の82%が「ターゲット理解」を最大の成功要因と回答し、77%が「高品質なコンテンツ」が成果のカギだとしています。

ブログではよく「誰に」「何を届けるか」が重要だと言われるけど、これはコンテンツ全体で共通しているってことだね。
また検索結果上位には、検索アルゴリズム変動など外部要因の影響も受けるため、成果を出すには長期的なサイト改善やSEO知識が求められます。
参考文献:HubSpot Thunderbit
ウェブ広告
(投資するもの:お金)
GoogleやYahoo!などの検索結果に表示されるリスティング広告、及びバナー広告等のディスプレイ広告によって、見込み顧客を獲得する手法です。
メリット
- コンバージョン率が高い。
- 出稿後すぐに効果測定と改善ができ、短期的に一定の見込み顧客数を確保しやすい。
検索連動型広告であれば、顕在ニーズを持つユーザーをピンポイントで獲得できるため、コンバージョン率が比較的高い傾向にあります。
実際に、B2Bマーケティング担当者に「もっとも受注につながっているチャネル」は何か尋ねた調査では、第1位が「Web広告」だったというデータもあります。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000299.000045863.html
デメリット
- キーワードにより投資費用が高い。
- 一度出稿を止めると見込み顧客獲得が途絶えてしまう「一過性」の側面がある。
人気キーワードや専門領域では、1件あたりのクリック単価が数万円などの高コストになることがあります。
特に中小企業にとっては潤沢な広告予算を確保しづらく、「費用対効果が合わない」との声もあります。
展示会・イベント
(投資するもの:お金)
業界向け展示会やセミナーイベントに出展・参加し、来場者と名刺交換や対面コミュニケーションを行うことで見込み顧客の情報を獲得する手法です。
メリット
- 短期間で直接製品の訴求ができる。
- 見込み顧客の信頼度が高い。
対面営業の得意な企業にとって、展示会は短期間で直接製品の訴求ができる貴重な機会です。
対面展示会では、一度の出展で100~300件の名刺を獲得でき、そのうち5~10%が1ヶ月以内に商談につながったデータもあります。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000028.000022054.html
また、展示会の来場者はその業界の専門家が主になるため、信頼度の高い見込み顧客を得やすい点も大きなメリットです。
デメリット
- 出展コストが非常に高額。
展示会への出展は、人件費(出張経費)・ブース費用・出店品費用などを含めると、数百万円以上のコストがかかり、かつ準備にも工数がかかることが最大の課題です。
また、自社のフォローアップ体制を整えなければ、「見込み顧客で終わる」可能性もあります。
セミナー・ウェビナー
(投資するもの:お金)
自社主催または共催でセミナーやオンラインウェビナーを開催し、参加登録者の情報を取得する手法です。
メリット
- 汎用性が高い。
- 対面で、かつ開催費用が安い。
セミナーは会場費用を抑えやすく、またWebで開催する場合は地理的制約なく、全国の潜在顧客を集客できる利点があります。
他社と共催して集客力を高めたり、実施後に動画アーカイブを公開して長期的な見込み顧客獲得に繋げたりと、汎用性も高い特徴があります。
デメリット
- これ自体が集客ツールにはならない。
- プレゼンテーションスキルが必要になる。
集客自体は他のツールとの連携が不可欠で、「メール案内やSNS告知などで、他の施策と組み合わせないと十分な参加者を集めにくい」点が課題です。
また当日のセミナー内容も質が問われ、講演テーマの設定や講師の話術によって成果が左右されます。

コンテンツマーケティングとの相性は良いから、「コンテンツ」で集客した後に「セミナー・ウェビナー」で顧客化することもあるね。
アウトバウンド(電話・訪問・メール)
(投資するもの:時間)
アウトバウンドとは、電話・訪問・メールを用いて、自分から主導的にアプローチする手法です。
メリット
- アプローチ先に上限がない。
- 訴求ターゲットを絞ることができる。
こちらから主導的にアプローチできるため、労力が続く限りアプローチ先に上限がありません。
適切に絞り込んだターゲットに対しては極めて効果的で、個々にヒアリングすることで潜在ニーズを引き出すことができます。
デメリット
- 信頼の獲得にはならない。
- 人的リソースへの依存度が高い。
この手法は人的リソースへの依存度が高く、担当者のスキルやトークスクリプト次第で成果が大きく変動します。
また効率重視で大量架電すると、顧客側の負担・反感も招きやすく、断られた見込み客への再アプローチには慎重さが必要です。

どの手法も一長一短だね。。

そうだね。「集客ツール」には正解がないからこそ、色んな手法を試してみるしかないんだ。
成約を獲得する方法
成約を獲得するとは「見込み顧客に自分の商品やサービスを選んでもらう」ことを指します。
基本的にどのような商品やサービスも既に市場に出回っており、違うのは付随する「付加価値」の方です。
この付加価値をどれだけ高めるかで、その商売の優位性が変わってきます。

例えば、「世界で最も売れているハンバーガー屋さんは、世界で最も美味しいハンバーガー屋さんか?」を考えてみよう。
付加価値の種類

Photo:Justin Sullivan/gettyimages
世界で最も売れているマクドナルドは、その立地的な「利便性」や
ハッピーセットを購入した時の「限定特典」、世界的に安定した「品質と安全」にベネフィットをおいています。
つまり技術進歩が成熟している業界では、「商品が美味しいのは当たり前のこと」であり、共通している付加価値でどう差別化をするかがカギとなります。
付加価値の種類は多岐に渡りますが、例えば組織ではなく個人が差別化するために、最も効果的な方法をみてみましょう。
信頼関係の構築
Forresterの2024年調査によれば、取引の当初から信頼感が醸成されている場合、そうでない場合に比べて取引する可能性が約2倍に高まった(85%対48%)と報告されています。
個人ではなく組織として商品を購入するにも関わらず、「商品」より「人」の付加価値を重要視するのは、少し疑問符が残るものではあります。
しかし、””昔の商人は火事が起きた際、「商品」よりも「顧客名簿」を井戸に投げ入れて守った””という話もあり、この原理はいつの時代も共通する普遍的な原則であるとも言えます。
参考文献:CustomerThink
顧客本位の姿勢
B2B取引における700件以上の大型購買を分析した調査によると、選定先を決めた理由で最も多かったのが「アイディア」と「協働」という結果になっています。
商品の売り込みよりも、顧客のプロジェクトや目標達成を中心に据える””カスタマー志向””の営業は、買い手から高く評価されます。
実際、トップ営業は単なる商品説明ではなく「顧客が何を達成したいか」を議論の中心に置き、買い手と共同で解決策を作り上げることで競合との差別化を果たしています。
参考文献:RAIN Group
最後に
今回は、「すべての商売は、人に好かれる競技である」をテーマとし、見込み顧客獲得から選定される方法までご紹介しました。
集客は「商品ではなく人に関心を持つ」ことで実現し、成約は「人に好かれる」ことで獲得できます。
どちらも決して容易ではありませんが、それを継続して努力することが””他社との差別化””ができる根本的な要因なのです。
今後も現代のビジネスマン向けに情報を発信していきますので、本ブログをブックマークして頂けますと幸いです。