私は現役で商社の営業マンをしています。
仕事はどのような会社・職種・業界であっても、辛いことが必ずあります。
例え自分の性に合っている会社でも、理不尽な要求・環境から、仕事が嫌になることが少なからずあるものです。
今回は、これから商社に入社する方や、現在営業として働いている人に向けて、商社の営業が辛いことトップ5をご紹介します。

- 商社への入社を考えている人
- 営業職として現在働いている人

商社の営業マンって給料高くて飲み会多くて出張多くて英語ができるイメージだけど、実際どうなの?

メン!会社によるけど、飲み会以外はイメージ通りだね。大手顧客のルート営業を担当する場合は、飲み会はそんなに無いよ。
同じ商社の営業でも、得意先の規模や担当(国内・海外)、部署(トレーディング・事業投資)により特徴が異なります。
なるべく多くの会社に当てはまる特徴に厳選しますが、あくまで個人の経験からの主観であることをご理解頂けますと幸いです。
商社の営業マンの愚痴に付き合っている気分で、気軽にお読みください。
【第1位】社内・得意先・仕入先からの板挟み
まず最初に、どこの商社も経験するのが社内・得意先・仕入先 3社からの板挟みです。
これが最も辛い要因は、ほとんどがトラブルの原因が自分でないことです。
仕入先責任でクレームが発生した場合、怒られるのは仲介である商社であり、その経緯の説明責任・問題解決・再発防止提案を含めたすべての処理を行います。
そしてこれは、得意先責任でクレームが発生した場合も同じです。
つまり、理不尽なクレームが毎日のようにあり、その落とし所を探ることが我々の仕事でもあります。

“毎日のように”は誇張してるんじゃないの?

いや、そうでも無いよ。トレーディングを主にする商社は仲介手数料で稼いでいて、その物件数はとても膨大なんだ。
入社当初は、ほとんどの人が社内・得意先・仕入先の板挟みを真摯に受け止め対応を迫られます。
しかし実際には、数年が経過するとある程度のトラブルは経験し終え、「ほほう、今回はこのパターンね」と思うようになります。
その段階になるとライン作業のようにトラブル対応をするため、いわば慣れるものでもあります。
具体例①
仕入先が見積もり金額を間違える
→得意先が注文書発行後に判明
→得意先怒る
→仕入先対応できない
→社内にクレームが入る
→上司怒る ⬅︎今ココ

いや、これ無理ゲーでしょ、、

そうだね。見積もり金額の実績・相場のチェックを怠らなかったとしても、ヒューマンエラーは避けられないし、最終的には仕入先選定が甘かったと怒られるんだ。

まあ、どうしようもない時は、社内には内緒で粗利益のバッファ分から捻しゅゲフンゲフン

粗利益のバッファとは、粗利益から会社で決められている最低粗利率を引いた分の金額を指します。得意先・仕入先に落ち度がないにも関わらず、追加費用が発生した場合、仲介である商社が負担する場合があります。

具体例②
納期が指定納期に間に合わない
→得意先が注文書発行後に判明
→以下同

え、この場合はどうするの?

もちろん最短納期で得意先に了承頂くしか無いね。この最短納期は文字通り最短で、商社が走って届けに行くこともあるよ。

うっわあ、、残業代は出るの?

良い質問だね!ココで、商社へ入社する際に、必ず確認した方が良いことを教えるよ!
【早速番外編】商社へ入社する際に確認すべきことリスト
給与編
- 残業代は出るか。
- 休日・深夜・早朝の出勤があるか。
- 営業成績と昇進・ボーナスは紐づいているか。
- 各種手当の金額。(国内・海外出張、休日出勤)
工事関連(設備・建設)を請け負う商社では、得意先の操業計画を基準に工事を行うため、休日・深夜・早朝の出勤があります。
また海外担当の場合、得意先の出社時刻基準で打ち合わせするため、こちらも休日・深夜・早朝の出勤があります。
入社前には必ずこれらの項目を必ず確認し、提示された給与と紐付けて考えましょう。

弊社はみなし残業制度を採用しています。

あっ、、(察し)
みなし残業制度とは、営業職などの外出が多い業務で、実労働時間の把握が難しい場合に適用されます。
別名「固定残業代」とも呼ばれ、経理負荷を軽減する目的(何だそれ)で、約2割以上の会社が採用していると言われます。
みなし残業制度のデメリット
みなし残業で発生する固定給は、基本給ではありません。
ボーナスや残業代は基本給に割増率をかけて計算されるため、固定給は計算に含まれないのです。
よって、例え営業成績とボーナスが紐づいている会社であっても、基本給が低ければ総額も低くなります。

営業成績と昇進・ボーナスが紐づいていない会社は、「やらなくていーじゃん」マンが蔓延るから注意してね!
働き方編
- 直行・直帰は認められているか。
- フレックス制度を採用しているか。
- 携帯や社用車にGPSは付いているか。
- 営業・運転日報の提出義務はあるか。
- ある一定の残業時間を超えたら日報の提出義務はあるか。
商社は出勤時間の自由度が高く(悪い意味)、イレジュラー対応が主となるため、それを前提で勤務先を選ぶ必要があります。
競合他社と話す中でも、直行・直帰が認められている会社は多々ありますが、フレックス無し・GPS有り・日報義務有りの会社は今現在もよくあります。(弊社)

残業日報なんて書いてる暇があったら早く帰りたいよね、、

まあ、それが狙iゲフンゲフン。
【第2位】THE 日本企業

我が社は年功序列と風通しの悪さはどこの商社にも負けません!
なんて言ってくれる会社であれば清々しいのですが、これは実際に働いてみてから判明するパターンが多いのが実情です。
実際に商社は日本特有の商流で稼ぐビジネスモデルであり、社風も日本特有の年功序列を採用している会社が一般的です。

出世競争から外れた人たちは現状の役職に留まり、それ以外の人たちが年齢順に上がっていくんだ。

出世できない人は年齢関係ないんだね。。

そうだね。結果を出し続けることに疲れて、「やらなくていーじゃん」マン(第二形態)が蔓延る会社もいっぱいあるよ。

商品やサービスが生産者から消費者に届くまでの流れのことを、商いの流れ(略して商流)と呼びます。これは単なる物流だけではなく、取引契約や情報のやり取り、支払いなどすべての流れがこの商流を基に行われます。

詳しくは以下のブログでご紹介しておりますので、ぜひ合わせてお読みください。

【第3位】セルフブラックはどこまでも

おかえり。あれ?今日どこ行ってたんだっけ。年寄りフンガー
商社の中には、残業代なし、休日出勤時の給与なし、上司放置(でもGPSつけるよ)の会社も存在します。
これは既に主だった商流を獲得しており、頑張らなくても自然に案件がくる会社にありがちな現象です。

得意先も大手だから、既存の商流だけでも年間数十億規模の売上があるんだ。
会社の看板としては十分なため、新たな商流を獲得することが比較的容易な一方で、会社側のバックサポートが適応しておらず、頑張れば頑張るほどセルフブラック状態となります。
【第4位】個人商店の集まり
会社側の管理ができていない状態に陥ると、横の人がどこで何やっているかわからない個人商店の集まりになります。
上司からは放置されるため、ノルマの厳しいB2C保険営業などと比べれば圧倒的に楽ではありますが、
営業スキルを磨きたい人や、若いうちから年収1千万以上を稼ぎたい人にとっては難しい領域とも言えます。

特に地方を主に活動している商社は、若い人がどんどん減っているよね。

手に職が付くわけでもなく、得意先と仕入先あっての商売だから、将来に不安を抱く人は多いんだよね。
【第5位】議事録難しい
さて、言いたいことは大体言い終えたところで最後は議事録についてです。
トレーディングを主にする商社は、得意先・仕入先・商社の3社以上が絡むため、情報伝達の相違を防ぐ目的で頻繁に打合せを行います。
- 要求仕様打合せ
- 見積もり仕様打合せ
- キックオフ打合せ
- 中間打合せ
- 納入前打合せ
- 納入後打合せ
- 検収打合せ

いやいや多すぎでしょ暇人か!

こんなに多い理由は、情報伝達の少しの相違は、後々大きな相違に発展するからなんだ。
よって、打合せ議事録はその正確性が最も重視されます。(あと読みやすさ)
議事録は主に商社がその記述を担いますが、得意先・仕入先の担当者はその分野の専門家であり、技術的な専門用語が飛び交うため、途中で自分が何を書いているのかわからなくなることが多々あります。

対処法はないの?

得意先と仕入先との信頼関係だね。わからないことをわからないとその場で聞くことが重要なんだ。
議事録の書き方については以下のブログでご紹介しておりますので、ぜひ合わせてお読みください。

最後に
今回は、これから商社に入社する方や、現在営業として働いている人に向けて、商社の営業が辛いことトップ5をご紹介しました。
商社の営業は、現場の商売に最前線で関わることができるため、お金を稼ぐことが好きな人や、人と関わるのが好きな人は非常に向いている職業です。
今回はデメリットのみに焦点を当てましたが、それに匹敵するほどの楽しさがあることもまた事実です。
今後も現代のビジネスマン向けに情報を発信していきますので、本ブログをブックマークして頂けますと幸いです。