私は現役で商社の営業マンをしています。
一般的な営業のイメージとして、「精神的にきつそう」や「取引先に媚びている」などのネガティブな印象を持つ方は多いと思います。
確かに私たち営業は、第三者目線から見るとこのようなイメージを持たれるかもしれません。しかし営業には、他の職種では得られないメリットも存在します。
今回は、””営業職に就くことのメリット””に焦点を当て、実際の営業事情についてご紹介します。

- 営業職への転職や、就職を考えている人
- 現在営業をしているが、楽しくない人

顧客や取引先と話していても、「営業だけにはなりたくない」って言う人が意外と多いよね。

メン!そうだね。営業のイメージに”板挟み”や”残業”が先行して、希望して営業に就く人は少ないかもね。
「仕事に対して譲れないもの」や「肌に合わないもの」は千差万別であり、どの職種を選ぶのか、その基準は人それぞれで異なります。
また、それぞれの職種のメリット・デメリットは、会社の社風に依存する側面もあります。
今回も個人の独断と偏見を含みますので、酔った商社マンの話に付き合ってる気分で、気軽にお読みください。
営業職に就職する人の割合
文系大学を卒業した学生のうち、約7割が総合職として採用され、その後営業に従事すると言われています。
これは、営利企業が存続する上で最も重要なのが社員の””営業力””であり、
若いうちから営業に就かせることで、商売の基礎や対人スキルを磨かせたいという、経営者の意図があるためです。
参考文献:ダイヤモンド・オンライン
営業職の人口
2023年の日本における労働力人口は約6,740万人。
その中で営業職従事者は約810万人おり、全体の約12%に相当します。
しかし、過去15年間で営業職の人口は約60万人近く減少しているとも言われています。
この減少の背景には、インターネットの普及による販売手法の多様化や、市場の流通構造の変化が挙げられます。
参考文献:KOTORA
営業職の将来性
営業従事者の減少により、営業には将来性がないように思えるかもしれませんが、実際はそうではありません。
営業力の根幹にある””利益の確保””は営利企業における原点あり、日本が資本主義社会である以上、これからも雇用者からのニーズが衰えることはありません。
『営業力』の専門性は概念的な要素である側面はありますが、営業職として結果を出していれば、転職先に困ることはないでしょう。
営業職に就くことのメリット
営業職の代表的なメリットは、「商売の根幹を実践を通して学べること」及び、他の職種と比較し「就業時間内の自由があること」です。
商売の根幹が理解できる
営利企業が存続するには、””利益の確保””が最も重要となります。
利益を上げるには、自社の商品やサービスを売る必要があり、それを売るには「見込み顧客に選ばれる」必要があります。
この選ばれる手法の一つが営業力です。営業力に特化したビジネスマンは、例え自分で起業した場合でも、存続できる確率が高くなります。

でも商売には、良い商品を作り出す「技術力」も重要なんじゃないの?

良い質問だね。実は商品が売れる過程において、技術力はそれほど重要ではないんだ。

例えば、「世界で最も売れているハンバーガー屋さんは、世界で最も美味しいハンバーガー屋さんか?」を考えてみよう。
技術力×営業力

Photo:Justin Sullivan/gettyimages
世界で最も売れているマクドナルドは、その立地的な「利便性」や
ハッピーセットを購入した時の「限定特典」、世界的に安定した「品質と安全」にベネフィットをおいています。
そして、このどれもが””食の技術力””には該当しません。
ターゲットに定めた顧客へ最適な付加価値を提供する『営業力』こそが、マクドナルドを世界で最も売れているハンバーガー屋さんにしているのです。
就業時間内の自由が手に入る
会社にもよりますが、結果を出している営業は、良い意味で会社から見放されることがあります。
営業が担当している取引先や部署は、プロジェクトが集中しない限り他の営業と被ることはなく、スケジュールは自分自身で管理することになります。
逆に言えば、そのスケジュールを他の人と共有しなければ「どこで何をしていても自由」なのです。

要はサボれるってことだね!

でも、うちの会社は日報の提出が義務付けられてるし、携帯にGPSも付いてるよ!社畜万歳!

最近はそういう会社が多いよね。だからこそ、結果を出していることが重要なんだ。
結果を出していることは、つまり『社内営業が完了している状態』を指します。
社内営業が完了している状態とは、社長や上司から好かれている・もしくは信頼されている状態であり、具体的には以下のようなことを指します。
- 予算以上の売上を毎期達成している。
- 「こいつはサボらない」という印象を与えている。
- サボりがバレても問題ない関係性を構築している。
- “”自己主導的に仕事ができる””ことを認識させている。
このような状態になれば、就業時間内の自由が手に入ります。
“”自己主導的に仕事ができる””能力は、例えば会社を起業する時にも必要な能力であり、プラトー期を乗り越える大事な原動力となります。
対人スキルが磨かれる
さて、営業職に就くことのメリットには、当然ながら『営業力が磨かれる』こともあります。
この営業力の代表的なスキルが、「対人スキル」と「プレゼンテーションスキル」です。

- 共感力:相手の感情に寄り添い、信頼を築く能力
- 質問力:ニーズや課題を引き出す適切な質問をする能力
- 人脈形成力:新規・既存の関係を広げ、商売を広げる能力
営業は交渉ごとを有利に進めるため、自然と実践的な対人スキルが磨かれています。
「返報性の原理」や「ミラーリング」などの心理学の知識がなくても、相手に好かれることに特化した行動を無意識的に行うことができるようになります。

対人スキルって心理学を学んでいる専門家より高くなるの?営業力って技術的な指標がないから、判断が難しいよね。

そうだね。具体的な心理学上の知識はなくても、日々実践している以上、対人スキルは専門家より高いと思うよ。
プレゼンテーションスキルが磨かれる

- 構成力:情報を論理的かつ簡潔にまとめる能力
- ストーリーテリング:事例や比喩を用いて印象的に伝える能力
- 非言語コミュニケーション:表情・ジェスチャー・声のトーンなどの活用
プレゼンテーションスキルは、商売における必須科目です。
“”見込み顧客に選ばれる””ことを目的としたプレゼンテーションスキルは、知識より場数の方が役に立ちます。
論理的な会話の構成をし、相手の表情の変化を読み取り、断られた経験を多くすることで、気が付いた時にはプレゼンすること自体が楽しくなってきます。
営業職はきついのか?
営業を総括して「きついのか」判断することは難しいですが、
もし未経験から始めた場合、他の職種より精神的な刺激が強い職種なのは確かでしょう。
何故なら営業力は概念的な要素であり、上司や先輩からマニュアルをもらうことが難しい領域だからです。
営業にマニュアルは無い
商売に再現性がないように、営業にマニュアルは存在しません。
「こうすれば売れる」や「こうすれば失敗しない」などの成功法則は存在せず、全て属人的なものなのです。

学校生活を○×で判断されてきたからこそ、「正解が無い」のは確かに難しいね、、

そうだね。だからこそ経験を積むまでは、社内・取引先・顧客から「怒られて当たり前」と思うことが重要なんだ。
営業は怒られて当たり前
マニュアルの無い領域で結果を出すには、失敗が唯一の先生であることを認識することが大切です。
営業は””怒られることが仕事””であり、その繰り返しから学びと実践を繰り返していきます。
それを認識することができれば、板挟みや取引先のトラブルに巻き込まれたとしても、営業のメリットを見定めることができるでしょう。
なお、商社マン(営業)のデメリットについては、以下のブログでご紹介しておりますので、是非合わせてお読みください。

最後に
今回は、””営業職に就くことのメリット””に焦点を当て、実際の営業事情についてご紹介しました。
営業は多様なメリットがある職種でありながら、第三者目線から見た時の乖離が大きいという特徴もあります。
営業に就職・転職する際には、周囲の人やネットの意見だけでなく、その会社で働いている先輩営業マンの意見にも耳を傾けましょう。
今後も現代のビジネスマン向けに情報を発信していきますので、本ブログをブックマークして頂けますと幸いです。