私は現役で商社の営業マンをしています。
商社や保険会社などの営業で構成される会社では、結果を出し続けている『できる営業マン』が必ずいます。
しかし、そんな人を模倣しようと一緒にプロジェクトを進めても「あれ、この人の何が凄いんだ?」と思うことが少なくありません。
そこで今回は、実際に営業として働いている経験から、””できる営業マンの条件””についてご紹介します。

- 営業職として働いている人
- 将来営業として就職・転職したい人

確かに売上の高い営業と話しても、当たり前のことをやってるようにしか見えないよね。

メン!そうだね。実は「空想上のできる営業マン」と「実際のできる営業マン」には、少し偏りがあるんだ。
空想上のできる営業マンとは、会社の看板が無い状態から結果を出す『0→1ができる』人を指します。
一方で、看板のある会社での成果は運とタイミングによる影響が大きく、
実際のできる営業マンは、第3者から見ると当たり前のことをやっているだけのように見られます。
なお、今回も個人の独断と偏見を含みますので、酔った商社マンの話に付き合ってる気分で、気軽にお読みください。
看板のある会社とは?
まず皆さんが顧客である場合、その会社と取引するか否かを決める判断基準を考えてみましょう。
その視点は、営業ではなく会社であることに気が付きます。
会社概要 | 判断基準 |
設立年月日 | 信頼 |
資本金 | |
従業員数 | |
主要取引先 | |
取引銀行 | |
知名度 | 実績 |
実績紹介・事例 | |
許認可・登録番号 | 法的リスク |
看板がある会社とは、これらが一定水準を満たす会社を指します。
このような会社は、””企業成長の4ステージ””でいう成長期・安定期に入っており、新規取引先の開拓よりも既存取引先案件の拡張が重要視される傾向にあります。

企業成長の4ステージとは、会社の成長段階を示す指標です。「創業期」「成長期」「安定期」「衰退期」に区分され、会社の経営施策・資金調達・投資評価をする際に用いられます。
営業の成果
そして営業の成果は、大まかに2種類に分類できます。
- 新規の取引先を開拓
- 長期的な売上の向上が期待できる。
- 既存の取引先案件を拡張
- 短期的な売上の向上が期待できる。
営業成績に直結するのは後者であり、難易度も新規開拓と比べ低い傾向にあります。
そして新規開拓は、会社の看板の有無により、その難易度が極端に変わります。

新規開拓で成果を出した営業が、『起業した途端相手にもされなくなった』なんてよく聞く話だよね。

取引先からすれば、起業した会社は別の会社になるからね。
できる営業の条件【看板のある会社編】
看板のある会社に所属していれば、会社から与えられた商材を、与えられた情報を基にPRします。
新規商材や新規取引先を開拓することもありますが、自社に信頼や実績があれば、それだけで取引先へ開拓のメリットを感じさせることができます。
よって、基本的な人間性や処理能力があれば、営業成績は自然と付いてきます。

人間性って具体的にどういう要素を指すの?

良い質問だね!では次に、営業の能力について具体的に解説するよ。
営業の能力
営業が求められる要素は、大きく分けて 「人間性」「スキル」「キャパシティ」 の3領域に整理できます。
人間性
「一緒に働きたいか」「取引で協働できるか」を決める基礎的な要素です。
- 素直さ
- フィードバックを素直に受け入れ改善できる。
- 愛想
- 社内外での関係構築がスムーズにできる。
- 責任感
- 与えられたタスクを最後までやり遂げる。
- 誠実
- 約束を守る。信頼構築のベースとなる。
スキル
「どれだけ成果を出せるか」「どれだけ効率的にこなせるか」を決める要素です。
- 経験値
- 顧客の課題や本音を引き出せる。
- プレゼン力
- 商材にストーリーを付与し説得力ある商談ができる。
- 交渉力
- 競合や市場動向を把握し、交渉を有利に導く。
- PCスキル
- 業績管理や提案資料の作成を自身で行う。
キャパシティ
「どれだけの量・質の業務をこなせるか」「プレッシャーに耐えられるか」を決める要素です。
- 処理能力
- 限られた時間で圧倒的な物量をこなす能力。
- 鈍感力
- 板挟みの状況であってもメンタルを保ち続ける。
- 柔軟性
- 突発的なトラブルでも取り乱さず、調整をスムーズに行う。
- 論理性
- 情報を整理し、根拠を持って判断できる能力。

人間性は、採用の一般的な基準にもなっているんだ。
運とタイミングが占める割合

でも人間性や処理能力って、人によってそこまで差はないと思うけど。。

鋭いね。だからこそ、営業成績の決定的な違いは、運とタイミングにある側面が非常に高いんだ。
運とタイミングとは、配属される部署や担当する商材。
また顧客の予算・プロジェクトの状況により、営業成績が左右されることを指します。
例え営業のスキルやキャパシティが高くても、それが顧客の予算・プロジェクトに影響を与えることはありません。
看板のある会社における売上のシェアは、新規開拓により獲得する売上よりも、既存の取引先案件を拡張し獲得する売上の方が圧倒的に高いのです。
できる営業の条件【看板のない会社編】
一方で、看板のない会社は、取引先の予算・プロジェクト云々よりも長期的な信頼関係の構築に重点が置かれます。
そして、信頼と実績の構築には、マネタイズ以前の他者貢献が必要です。
信頼と実績を構築するには
まず、ここでいう実績とは、看板のない会社での実績です。
“”以前の会社で構築した実績””は、取引先目線でいう別の会社と取引する理由にはなり得ません。

つまり順番としては、まず信頼を積み重ねて、その結果得られるものが実績になるってことだね。

その通り!では次に、信頼をどう積み上げるのかを考えてみよう。
皆さんは、どのような人を信頼しますか。
結論から言うと、それは年単位で無償の他者貢献を行える人です。
他者貢献をする営業
具体的に、私が実際に見てきた営業を例に見ていきましょう。
顧客がやるべきタスクも担う
カーボンニュートラル関連の商材を取り扱う会社が、自社の商材をPRしました。
モノ売りに区分される会社のため、本来であれば顧客に寄り添った検証””省エネ効果の計測、法令確認、社内報告””は行いません。
しかし、この営業は自身が顧客のタスクを担い、数年かけて受注を獲得しました。

ひええ、、これって相見積もりだよね?受注が約束されない中で、普通の会社はそんなことできないよね。

そうだね。紆余曲折を経て受注に至ったんだけど、競合に負ける可能性も十分にあったんだ。
売上シェアの多くを既存の取引先が占める会社では、受注見込みの低い案件に時間をかけることはできません。
効果が保証されてない(再現性がない)ことに挑戦できることは、看板の無い会社における営業の武器とも言えます。
そして、本事例ではカーボンニュートラル関連の商材に焦点を当てましたが、これはどのような商材であっても応用できます。
最後に
今回は、実際に営業マンとして働いている経験から、””できる営業マンの条件””についてご紹介しました。
『できる営業マンの条件』とは、見返り保証のない事柄に対して他者貢献できる人のことを指すのだと私は思います。
しかし、この営業手法は、看板のある会社においては成果に繋がりません。
逆に言えば、自分の有りたい営業の理想像を追いかけるには、会社選びを間違えないことが重要なのかもしれません。
今後も現代のビジネスマン向けに情報を発信していきますので、本ブログをブックマークして頂けますと幸いです。