私は現在専門商社の営業マンとして勤務しています。実際に働いている経験から、今回は商社の実態についてご紹介します。これから商社で働きたい、もしくは転職や就職先で商社が候補にある方はご参考頂ければ幸いです。
給料って他の業種と比べてどうなの?

ある時代において商社は給料が高いという印象がありましたが、最新の統計ではどうでしょうか。職業別年収の実態調査は様々な行政や法人が行なっていますが、情報元によ多少の誤差があったため今回はChatGTP4oによる回答をご紹介します。最も信憑性のある統計は厚生労働省が発信していますので、以下はご参考程度にお考え頂ければと思います。
1. 金融(投資銀行・証券会社)
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2. 医薬品・バイオ(製薬・医療)


3. IT・ソフトウェア


4. 商社
- 平均年収:700万円〜1,000万円
- 平均粗利率:10~20%
- 特徴:商社は特定の(もしくは広範囲の)取扱う商品や分野に専門性があり、リスクのあるプロジェクトに携わることも多いため、年収水準が高くなっています。商社マンのイメージにもある通り、成果に対する報酬が多く、インセンティブや海外駐在員手当も大きな要因です。
5. 不動産(特に大手ディベロッパー)
- 平均年収:600万円〜900万円
- 平均粗利率:20~30%
- 特徴:大規模な不動産開発を行う大手ディベロッパーなどでは、プロジェクトに応じて年収が高くなることがあります。営業職やプロジェクトマネージャー、企画職の報酬も高い傾向にあります。
6. コンサルティング(戦略・経営コンサルタント)
- 平均年収:700万円〜1,200万円
- 平均粗利率:50~70%
- 特徴:外資系・国内系問わず、戦略系のコンサルタントは高収入が期待できる職種です。成果主義のため、経験やプロジェクトの成功によってインセンティブが高く、キャリアアップも年収に影響を与えます。
7. エネルギー・インフラ(石油・ガス・電力)
- 平均年収:600万円〜900万円
- 平均粗利率:20~40%
- 特徴:エネルギー業界は国内外でのプロジェクトも多く、エンジニアや企画職など専門的な人材の年収が高いです。インフラ関連の安全性や効率向上のため、高度な技術力とリスク管理能力が求められます。
8. 化学・素材(鉄鋼・ガラスなど)
- 平均年収:600万円〜800万円
- 平均粗利率:15~30%
- 特徴:化学・素材産業も製造の専門知識が重視され、高収入が期待できます。エンジニアや研究職は年収が高く、特に海外向け事業を行う企業で報酬が増える傾向にあります。
9. 自動車(自動車メーカー・部品メーカー)
- 平均年収:600万円〜800万円
- 平均粗利率:10~20%
- 特徴:大手自動車メーカーは技術者の年収が比較的高く、製造・開発職に加え、海外展開やグローバルでのプロジェクトに関わることで年収が上がることがあります。
10. 広告・メディア
- 平均年収:500万円〜700万円
- 平均粗利率:30~50%
- 特徴:大手広告代理店や一部のメディア企業では、特にクリエイティブ職や営業職において高い年収を得られることがありますが、業界内での競争も激しく、成果によって報酬が大きく変動する傾向があります。
商社は第4位にランクインしています。このランキングは総合商社も含めた年収となっているため、比較的高いランクとなっているようです。私は営業として仕事をする中で競合他社とも話す機会が多々ありますが、実際の年収は30代以降は年収600万円前後、50代は800万円前後が多い印象です。
専門商社とは?

専門商社とは、特定の業界や分野に特化して商品やサービスを取扱う商社のことです。総合商社は幅広い製品やサービスを取扱うのに対して、専門商社は特定のカテゴリや商品群において専門性とネットワークを持つことが特徴です。但し大手の総合商社は部署分けにより役割を明確に分岐しているため、組織上の求められる人材としては共通していると思います。
専門商社の主な業界
業態 | 主な取扱い製品 |
化学品商社 | 化学薬品や素材 |
食品商社 | 食料品や飲料 |
鉄鋼商社 | 金属や鉄鋼製品 |
産業商社 | 産業製品や生産部品 |
電子商社 | 電子部品や半導体 |
総合商社より就職チャンスはあるの?
大手の総合商社よりは確実に難易度が下がると思います。基本的には大卒で、どの会社も異業種の営業から転職している人が多い体感です。しかし中には営業未経験者や最終学歴が小学校の方もいて、結局は時代と人柄によるかと思います。専門商社は経験できる業態は絞られてしまいますが、その中でも挑戦する機会もあり、その実績をもとにステップアップの踏み台としても十分利用できます。
インセンティブって多いの?固定給なの?
完全に固定給です。稼いだ金額の何%がもらえるとか、ボーナスが粗利益の何%貰えるとか一切ありません。実際に前年より何千万単位の粗利益を上乗せした先輩は、その年のボーナスは+5万くらいでした。どんなに売上に貢献しても、会社の看板ありきの営業成績と会社側は考えています。
これは会社により多少金額の違いはあれど、ベンチャーでない限り考えは同じだと思っています。給料を多くもらうには何年も実績と信用を積み重ねていく必要があるため、それが嫌でやめていく人は少なくありません。
商社の専門用語
商社が頻繁に使用する用語をご紹介します。BtoB取引における用語になるため、商社に限らずご存知の方も多いかと思います。海外との取引用語(FOB/CIFやTT/LCなど)や単純な直訳用語を含めると膨大になるため、今回は割愛します。
- 商流(しょうりゅう)が決まっている…ユーザー側から依頼先が決まっている取引を指します。
- 一社選定(いっしゃせんてい)…上記依頼先が限定されるものを商社側からはこう言います。
- 相見(あいみつ)…相見積もりの略称です。一社選定とは逆で、競合ありきの案件です。
- SV…現地へ派遣する監督者、作業者を指します。”フィールドサービススタッフ”の略称です。
- デットライン…守らなければいけないマスト納期です。
- 右左品…在庫品の対義語で在庫を持たずそのままユーザーへおろす製品を指します。
上記用語の使用頻度は比較的高いです。例えば商流が決まっている一社選定の見積は粗利率を高く設定できます。逆に相見で競合ありきの物件は価格を仕入れ先を共に検討しますし、競合の価格情報も調査します。
またSVを派遣する際には現地スケジュールを組みますし、納期のデットラインは仕様検討段階でユーザーへヒヤリングした上で全体の工程を組みます。略称は使用頻度が高くコミュニケーションコストを省くために作られたので、商社が普段どんなことを考えているか見え隠れしますね。
商社のイメージって実際には本当なの?

商社ってどんなイメージがある?

商社といえば、”激務”飲み会が多い”出張が多い”かなあ。最近はコンサルとかITとか他にも激務で給料が高そうな職業が増えてきたイメージだけどね!
商社のイメージは業界や世代/地域によって様々ですが、一般的には「国際的」「ダイナミック」「多様性のある仕事」という印象が強いようです。実際に働いている経験から以下に特徴をご紹介します。

グローバルなビジネス展開
商社の多くは世界中で事業を展開しており、海外市場との関わりが深いです。海外の取引先と連携して資源、製品、サービスを世界中に提供するため、英語は日常的に使用します。

幅広い分野をカバー
商社はエネルギー、食品、機械、化学品、不動産など多岐にわたる業界で活動しています。これにより、商社によって取引相手やプロジェクトや求められる知識も大きく異なります。

迅速な意思決定と交渉力が求められる
商社は案件の処理スピードが求められます。営業マンの一人当たりの仕事量は他分野と比較しズバ抜けており、かつ一件当たりの金額も大きいため、商社の営業は他業種と比べ負荷が高い傾向です。

新しいビジネスに挑戦する
商社は新たなビジネスチャンスは積極的に挑戦します。専門商社の中には既存商流のフォローで手一杯なところがあるのが実態ですが、そんな中でも新しい商材を開拓する風土は確かにあります。

ワーク=ライフのバランス
商社は目標金額が明確に決められており、ハードワークになりやすい環境です。特に取引の締切前やプロジェクト立上げ時など、ワークライフバランスは取れないのが実態です。

完全なる個人競技
商社は基本的に個人商店の集まりと表現されます。それ程にそれぞれの案件は個人の責任のもと進められます。但し目標金額はチームでも決められており、要所では上司が出ることもたまにあります。
商社で働くメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・数字の成果を出していればほっとかれる。 ・自由な割に給料は平均以上の水準を貰える。 ・個人商店の集まりのため、社内の人間関係がない。 | ・直行直帰でカフェで仕事とかできる。・数字の成果による評価は即効性がない。 ・数字以外の評価(件数や案件難易度)はされない。 ・年功序列。50歳以上は総務的な仕事をしている。 | ・休日出勤や残業の給料がでない。
商社ってどんな人が向いてるの?

商社はその会社により参入業界・商材も大きく異なります。そのため、企業文化や環境も多種多様です。但し共通して言える働く上でのメリットは、結果を出していればある程度働き方の自由があり、平均年収よりは高い給料を稼げることかと思います。
結果を出すとは?
商社の目的はある程度共通しています。それはより”負荷を掛けず“に”長期的”に”稼ぐ“ことです。その目的に沿った結果を出した場合、会社からは評価されます。
- “稼ぐ“とは…金額の高い案件を獲得する営業マン
- “負荷を掛けず“とは…手離れの良い商材を獲得する営業マン
- “長期的”とは…ランニングコストが発生しかつ商流上長期的な案件が発生する営業マン
結果を出す人ってどんな人?
ではそんな結果を出せる人に共通している特徴はあるのでしょうか?結論から言うと、共通している特徴はありますが、頭の回転が早いとか、素直とか、どの業界でも共通しているような当たり前な人物像になってしまいます。なので今回は、少し面白い人の特徴をご紹介します。
メリハリありすぎマン
甚大な問題が発生しても、自分が決めたプライベートな時間は満喫できる人は長期的には向いている傾向があります。電話の向こうで怒号が飛び交っている中で、美味しくコーヒーを飲んでいる先輩が実際にいました。「取引先はうちの会社のお客さんであって俺のお客さんじゃないよ。プライベートは別。」と言っていたのが印象的です。
サイコパス
取引先と社内で態度が違いすぎて誰?ってなる人が割といます。取引先と接するときは信頼たる人格ですが、社内との人間とは必要以上に会話することはなく、社内での仕事(売上成績に繋がらない仕事)は頼まれないため、営業成績/労働生産性は抜群に高いです。(協調性は0)
妖精さん
常に取引先へ行っているためどこにいるかわかりません。事務仕事が早すぎて後ろから見てても何やってるかわかりません。そもそも話したことがないのでどんな人かもわかりません。営業成績は抜群です。(本当にいます。妖精さんと呼んでいます。)
産業製品の商社ってどんな感じ?

私が勤務している産業製品を扱う専門商社の特徴をご紹介します。
主要ユーザー
大手自動車メーカー、及びその自動車メーカーの取引先
大手メーカーを取引先としている商社は、そのメーカーの企業風土に影響される傾向があります。商社へ就職や転職をする際は、主要ユーザーがどのような会社か調べると商社の実情もわかるかもしれません。またできるだけユーザー数が多い会社の方が、倒産リスクも少なく済みます。
取扱い製品
産業機械、ロボット、工具など
このような産業機械を扱う場合、休日出勤が多いです。理由は産業製品は物理的に大きいものが多く、工場の操業時には導入できないためです。休日に機械を導入し工事の立会などを実施しますが、平日の業務もありマンパワーが足りなくなることが頻繁に起きます。
取扱い製品の知識量について
商社は製品を自社が仕入れてユーザーへ販売する特性上、取扱う製品はある程度把握する必要はありますが、数が多すぎて個々の仕様まで追えないのが実情です。但し商社の役割はあくまで問題が起きた際の対応と橋渡しのため、知識量はそれ程重視されません。というか勤務時間中も残業時間中も休日出勤中もそれぞれの稼働ユーザーから問い合わせがくるため、最初はそれをこなすだけでも精一杯だと思います。
商社へ就職・転職するには?
商社へ転職、もしくは就職するにあたりおすすめの転職サイトをご紹介します。登録しているだけでも市場の動向がわかり自分を安売りするリスクを避けることができますので、ぜひご検討ください。
1.転職エージェントナビ
転職や就職をする際に最も重要なのは、それぞれの個性や強みを引き出し企業とのマッチングを行なってくれるエージェント選びです。このサイトでは企業選びの前にエージェントとのマッチングを行なってくれます。これからのステップアップをお考えのかたはご登録頂くことをおすすめします。
2.ビズリーチ
昨今CMなどで話題となっている高収入転職サイトの代表格です。ハイクラス転職としての知名度は、すなわち企業側からの知名度となりますので掲載数においても期待できます。情報収集も兼ねてご活用頂ければと思います。

まとめ
今回は実際に働いている経験から、商社の実情についてご紹介しました。商社とは非常に広域的な概念で、参入業界や取引先によりそれぞれ異なる特徴があります。本気で転職・就職される方は事前に取引先数や給料などを調査した上でご検討頂ければと思います。今後も法人向けで有益な情報を提供したいと思いますので、本ブログをブックマークして頂けると幸いです。