私は現役で商社の営業マンをしています。実質賃金が下がり続ける現代の日本で、自分で商売するスキルを身に付けることは、不況時の備えにも年収の底上げにもなります。
しかし、私たちは普段会社との「雇用契約」により、就業規則に定められた時間を対価とし報酬を得ており、商売に関する実践的な経験はあまり多くありません。
そこで今回は、現代において有効な『モノを売る方法』と、商品やサービスを『高く売るコツ』についてご紹介します。

- 自分で商売をしたい人
- 営業や販売の仕事をしている人

普段モノを買うことはあるけど、売る機会はあんまり無いよね。

メン!そうだね。組織として働いている以上、自発的に動かない限りモノを売る機会は中々できないんだ。
商売の本質は他者貢献であり、人のために商品やサービスを提供し、喜んで頂ければ対価(お金)を受け取ります。
人を喜ばせるには『付加価値』が必要であり、付加価値の大きさは『投下する時間、または金額』に比例します。
初めから結果に繋がるほどの時間やお金を投資するのは難易度が高く、自分で商売するにはまず既存の商品やサービスを模倣することから始めることが一般的です。

- 『モノを売る方法』で最も重要な手段は『商売を始めること』である。
モノを売る方法
モノを売る方法は多岐に渡りますが、大きな枠組みで言うと以下の8パターンになります。
媒体 | 区分 |
ブログ | Webマーケティング |
SNS | ↑ |
Youtube | ↑ |
ホームページ | EC販売 |
フリマサイト | ↑ |
ネット通販 | ↑ |
実店舗 | オフライン販売 |
営業 | ↑ |
主な特徴
- SNS:X(旧Twitter)、インスタグラム
- フリマアプリ:メルカリ、Yahoo!オークション
- ネット通販:Amazon、楽天市場
- ブログ:Note、Amebaブログ
上記は既存ユーザーが多く短期的な成果が期待できる一方で、運営会社の倒産やユーザー減少による移行により、それまでの実績・評価・フォロワーが無くなる可能性があります。
参入障壁が低いため、副業として一番最初に取り組む場合はお勧めできますが、これ一本で独立するにはリスクが高い側面もあります。

独立の可否を決めるのは、顧客リスト(取引先)の多さです。特定の媒体に依存した事業では、取引先が1以上に増えることはなく、媒体の動向次第で事業の継続性が左右されます。

媒体にホームページ(自立型EC)の外部リンクを貼って、誘導すれば良いんじゃないの?

そうだね。でも多くのフリマアプリ、ネット通販では、外部リンクへの誘導は規約違反になるんだ。
一方で、下記は所有権が自分にあるため長期的な運用リスクが軽減できます。
- ホームページ:自立型EC、BASE
- ブログ:Wordpress
長期的に商売をする際には、その販売ツールの所有権を誰が持つのか意識しましょう。
区分別の特徴
Webマーケティング
既存の販売ツールがある人・法人向けです。
不特定多数向けに事業に関する情報発信を行い、見込み顧客(定期読者)をWeb上で獲得します。
ユーザー獲得にはコンテンツ数が必要であり、そのコンテンツを作成するには相応の時間を投資する必要があります。

頻繁に検索されるワードに対し、自分のページを検索結果上位に表示させる必要があるためです。
検索結果の順位付けは各媒体で決められた基準が存在しますが、例えば『Google品質評価ガイドライン』ではコンテンツ数・クリック数・ユーザー滞在時間などがあります。
EC販売
初期費用を抑えオンライン上で商品を販売することができます。
不特定多数向けに直接商品を訴求できる一方で、出店の容易さや販売実績の透明性から競合との差別化が難しく、模倣されることで価格の叩き合いになることが頻繁にあります。

つまり、他の人が模倣できない付加価値が『高く売るコツ』に繋がるってことだね!

そうだね。でも競合が模倣できない付加価値『利便性、エンターテイメント性など』をEC上でつけるのは難しいんだ。
輸送時のコスト削減のため、EC販売での商品は『小さい・軽い・壊れにくい』ものが良いとされます。
例えば価格の叩き合いを防ぐ目的で、あえて『大きい・重い・壊れやすい』ものを扱ったとしても、それが売れるのであれば販売実績の透明性から競合に模倣されてしまいます。
オフライン販売
主にはWebマーケティングやEC販売の誘導先として用いられます。
最終的に行き着くのはオフライン販売ですが、市場ニーズが不確定なまま数百万円規模の初期投資が必要なため、最初に手をつけるにはハードルが高いと言えます。

いずれにせよ、モノを売るには必ず『時間かお金』どちらかを投資する必要があるんだ。
【媒体別】モノを高く売る方法
では、それぞれの媒体から提供できる付加価値を見てみましょう。
相手に好かれる
主な媒体
媒体 |
ブログ |
SNS |
Youtube |
ホームページ |
フリマサイト |
ネット通販 |
実店舗 |
営業 |
モノを高く売る最も効果的な方法は、相手に好かれることです。
多くの人から好きを獲得すれば、それを見込み顧客としニーズの合う商品を後出しで提供できます。

簡単に言うけど、どうやって好かれれば良いの?
最も効果的な方法は、『できるだけ多くの人に対して継続してアピールをする』ことです。
この根拠として、単純接触効果があります。

単純接触効果とは、繰り返し接すると好感度や関心が高まるという効果です。
例えば営業が同じ顧客を何度も訪問することで、顧客は営業に対して親近感を覚え、商談が成立しやすくなります。
不特定多数向けに特定のコンテンツに関する情報を発信し、興味を持った読者が触れ続けることで、コアファンの獲得に繋げることができます。
実績を積む
主な媒体
媒体 |
ブログ |
SNS |
Youtube |
ホームページ |
フリマサイト |
ネット通販 |
実店舗 |
営業 |
実績を積み上げれば、それだけで競合との差別化ができ、相場より高値をつけることができます。
但しネット通販やフリマサイトでの実績は、自分ではなくマーケットプレイスの実績として顧客に認知されるため注意が必要です。

短期的な商売をするならネット通販やフリマサイトでも大丈夫だよ!
なお、ホームページ(自立型EC)では、実績・評価・テンプレート機能は自分で構築する必要があります。
少し面倒に思えますが、ユーザビリティを追求したネット通販やフリマサイトの機能は、ある意味で完成されたUI・UXのため、積極的に模倣するようにしましょう。
お金に余裕がある人に売る
主な媒体
媒体 |
ブログ |
SNS |
Youtube |
ホームページ |
フリマサイト |
ネット通販 |
実店舗 |
営業 |
例えば小林製薬のマーケティング戦略として「小さな池の大きな魚」を狙う戦略があります。
ここで言う池とは『市場』であり、大きな魚は『お金に余裕のある人』を指します。参入市場は小さく、また訴求ターゲットを絞ることで、付加価値の選択肢を明確にすることができます。
なお、一般的にB2C市場よりもB2B市場の方が市場規模が大きいため、特にこだわりが無ければB2Bへ参入しましょう。
【共通】モノを高く売る方法
次に、すべての媒体で共通している項目について見てみましょう。
コト売りを意識する
商社の間で使われる言葉で、『モノ売り』と『コト売り』があります。
モノ売りの検収基準は原則出荷基準であり、アフターフォローの手間が無い一方で、一件ごとの単価が低く薄利多売型とされます。
一方でコト売りは検収基準であり、顧客の要求仕様を満たさなければ支払いされません。また、コト売りは原価の洗い出しが難しいため、平均的な粗利率が高くなる傾向があります。
魂は細部に宿る
これは他の商売に通じる部分があり、単純に『モノ』を売るだけでなく、何かしら『コト』に関する付加価値をつけると競合との差別化ができます。
メッセージカードや副資材の充実など、一見気づかない部分であれば、競合からの模倣を避けることができます。

要は、売る前に『一手間かけよう』ってコトだね!顧客は意外と細かいところまで見てるんだ。
返報性の原理を意識する
営業はよく返報性の原理を利用しており、常識的な相手に対しては、より恩を売れる方を判断し選択しています。

返報性の原理とは、主に営業やマーケティングの分野で用いられる考え方で、人は「何かをしてもらったら、お返しをしなければならない」と思う心理的な仕組みを指します。人間は社会を形成していく進化の過程でこの仕組みを会得しており、無料の試食会やティッシュ配りなどで活用されています。
これは現場で顧客と直接関わる店舗・営業が特に有効ですが、信頼関係を積み上げる過程において最も意識するべき要素となります。
商品説明はシンプルに
マーケティングにおいて訴求ターゲットを決めることは重要ですが、商品説明・事業紹介を細かく記載してしまうと、顧客のニーズを狭めてしまいます。
薄利多売型ではなく、カスタマイズ性に特化し単価を上げるには、事業内容の情報はよりシンプルなものにする必要があります。

但し、B2Cの薄利多売型であるフリマアプリやネット販売では、逆に細かい情報を記載した方が有効だよ。
最後に
今回は、現代において有効な『モノを売る方法』と、商品やサービスを『高く売るコツ』についてご紹介しました。
『モノを売る方法』の中で最も重要なのは、商売を始めることであり、また『高く売る方法』は販売実績を積み上げた後で考えるべき要素です。
まずは自分が続けられそうな方法で実践し、その中で壁にぶつかった人にとって、本内容が参考になれば幸いです。
今後も現代のビジネスマン向けに情報を発信していきますので、本ブログをブックマークして頂けますと幸いです。